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マナツノ

夏休み勉強会1-6

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「ほんなら私はもう寝るけど、2人は無理しないようにしてね~。」
「当然のように俺のことを心配しないのやめろ。」
「……おやすみ~!」
「「おやすみ~!」」
「おい、流すな流すな。ちゃんと反応してくれ。」

俺の願いも虚しく、杏は自分の部屋に上がってしまう。テストが終わってからあいつが勉強してる姿見てないんだが、夏休みの宿題とか終わるのか?

 俺たちはローテーブルに自分の課題を乗せ、床に座る。桜ときいが並んで座り、その横のサイドに俺が座る感じだ。きいは桜に教えて貰いながら問題を解くようで、まずは文章の読み方から教えて貰っているらしい。

 それに比べて俺は、ひたすら極限を求めるだけ。しかもこの作業は簡単そうに見えて、めちゃくちゃめんどくさい。有理化の逆みたいなことしなあかんし、都合のいいように式を変えたり、部分分数分解もしないといけない。もはや脳トレだ。

「ひい君はそれ終わったら宿題終わり?」
「いや、英語が大量に残ってる。共テの模擬問題が3回分といつもの4〇kills。共テのやつは文IIと一緒?」
「私たちもそれある。一応全部残してるから来週音羽も含めて一緒にやる?」
「そーしよ。」

時間は11時半。まだ夜も始まったばかり。ゆっくりと課題を進めながら喋りながら…

 1時間ほど経って、一度休憩を挟む。きいは眠たそうに目を擦って、必死に眠気に抗っている。

「ひい君、寝ていい?」
「あかん。今寝たらブーストタイム味わえんようなるぞ。なんか飲むか?」
「コーヒー。」
「桜は?」
「私も同じの。」

キッチンに行って3つのマグカップを取り出し、インスタントのコーヒーを淹れる。もちろん粉はマシマシだ。

「ありがと~。」
「ありがと。」

きいは何も知らずにそのコーヒーを飲んだ。

「苦っ!これ苦すぎだって!なんで2人は普通に飲んでるの?嫌がらせ?嫌がらせなら戦争やけど。」

きいは桜のコーヒーを奪うと一口飲んだ。

「こっちも苦い。2人とも味覚バグってない?大丈夫?」
「安心しろ。うちの家ではこれが普通だ。」
「えーっ!」

きいはキッチンに砂糖を取りに行こうとするが、桜に防がれる。

「今それを取りに行ったら効果半減するやろ?」
「でも~!」

そう叫びながらきいはその場に座る。

「分かったよ~…」

諦めたようにコーヒーを飲みながら「苦っ!」って言う。でも、徐々に慣れてきたようで途中からはぐびぐびと飲み始めた。こいつも苦味に慣れてきたからいつもの濃さでいけそうだな。

「目覚めたか?」
「結構力技やけどね!」
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