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マナツノ

夏休み勉強会1-1

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「うぃーっす!」
「来たよー!」
「お邪魔しまーす!」
「おはよーさん!」

玄関を開けると、奏、楓、音羽、カレンが入ってくる。

「あっ、みんな来た来た。おっはよー!」
「おはよ。これで全員揃ったね。」

先に来ていたきいと合わせて、今この家には7人。それぞれカバンの中には四角いものが大量に入っている。

 今日は延長授業が始まってから初めての日曜日。俺たちは外に遊びに行くわけでもなく、こうして俺ん家に集まっていた。その理由は言うまでもない。勉強会だ。

 延長期間中の今日はみんなで集まって宿題をほぼ片付けようと、全員持ってきているのは宿題のみ。

「この2週間で宿題片付けるよー。」
「えーっ!桜ももうちょっと遊ばん?」
「いや。普通に考えて、延長の2週間の間に全部片付けて、それからは独自の勉強したほうがいいやろ?」

女子組はローテーブルに、俺たち男子組はリビングのテーブルに腰掛け、そして勉強道具を開く。

「ふぇ~理系多いなぁ。」
「今日は数学の気分やから青チャ持ってきてるけど、化学は普通に200問ある。「これで独自の範囲全部や」とか言うとったわ。」
「キッツそー。」

文Iである奏とカレンも国語の課題を開く。

「そういや、Qって国語得意やったよな?」
「最近理系科目しかやっとらんから忘れたわ。」
「そか、なら残念。」
「それなら音羽ちゃんに聞けばええで。この前の期末は音羽ちゃんのおかげで82点やったし。」
「あのテストをか!すげーなそりゃあ。」

奏はカレンの話にリアクションする。並びは俺の向かいに奏、そして斜め前にカレンだ。2人とも同じ問題集の同じページを開いている。もしかして本当に手つけてなかったな。

 文Iの国語…古文のほうの担当に、去年俺たちを悩ませたババアが行った。おかげで俺たちのテストは簡単になって、覚える問題より実力問題が増えた。

 心の中で「ご愁傷さま」と呟きながら、ベクトルの問題を始める。船戸さんに「ベクトルはすぐ終わったで。」と言われたからだ。せっかくの勉強会。モチベは上げてやりたい。

 カリカリと問題を解き始めたら、それに呼応するように2人も解き始めた。平面から空間に変わって、さらに計算量が増える。間違えないように注意しながら進め、半分ほど終わって顔を上げた。

 女子のほうもすごい集中力で課題を進めている。時計の針が進む音と、シャーペンの芯が削れる音だけが聞こえる。

(誰かとやる勉強会もいいな。)

そんなことを思った。
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