605 / 732
インタイ
いんたい⑭
しおりを挟む
中央大会最終日。昨日は男子のメドレーリレーが近畿大会出場を決めて、流れはいい。今日引退になるが、だからといっていつもと違うところは何もない。今出せるだけのベストを尽くすだけだ。
「奏、呼吸やる?」
「おう。頼む。」
「海南さん、俺もやるんでちょっと待ってください。」
「あっ、俺もやります!」
「楓さん、ちょっと、ちょっとだけ待って!」
俺が呼吸を始めようとしたら、みんながいそいそとマットを持ってきた。そんな姿を見て、俺と楓は笑う。
「はいはい。そんな急がんでええから。30秒前。」
『えーい。』
マットに寝転んで、肩と肘、そして膝をリラックスする。
「よーい始め。」
楓がそう言って、俺は深く呼吸を始める。10秒吐いて、10秒止めて、10秒吸う。それを3回。肺を大きく広げて、肺を起こしていく。
「終わり。腹圧いきまーす。よーい始め。」
次は腹圧。まずはそのままの体勢で腹圧を入れる。30秒経ったらストリームラインを組んで、もう一度腹圧を入れる。
「終わり。話始まったら呼ぶからみんなはストレッチしといて。あ、今日出る種目ないメンバーはこっち来て。やること教えるから。」
楓も今日で引退だ。だから今日1日で全てを教えて、引き継がないといけない。
「奏さんも海南さんもラストっすか。」
「夢は近畿残ったからな。そこまでは続けるみたい。」
「寂しくなるな。」
隣でストレッチをする藍はそう呟く。
「そんなの、俺もさ。」
俺は今日でこの6年間の水泳人生が終わる。だから、少しくらい寂しく感じる。
ストレッチをしながら楓が呼びに来るのを待ち、そして、全身の筋肉を解して、ストレッチを終えた。
一足先にスタンドに戻ると、楓がラップ表にレーンを書き込んでいた。
「俺何レーン?」
「4の2。その後はちょっとしてから志帆の1ブレがある。どうせダウンなんかせずに帰ってくるんやろ。」
「もちろんや。必要ないからな。」
誰もいないメインプールを見て、1度深呼吸をする。
「あんまり気張らんようにな。いつも通りやったら絶対タイム出るねんから。」
「あぁ、いつも通り。」
今日はエキシビションと捉えているが、それでもやっぱりタイムは欲しい。スタンスはずっと変わらない。
「いつも通り、いつもを超える。」
俺は静かに呟いて、自分の席に座る。
「うん、それでいい。」
楓はそう言って、ほかのみんなを呼びに裏に行った。
「奏、呼吸やる?」
「おう。頼む。」
「海南さん、俺もやるんでちょっと待ってください。」
「あっ、俺もやります!」
「楓さん、ちょっと、ちょっとだけ待って!」
俺が呼吸を始めようとしたら、みんながいそいそとマットを持ってきた。そんな姿を見て、俺と楓は笑う。
「はいはい。そんな急がんでええから。30秒前。」
『えーい。』
マットに寝転んで、肩と肘、そして膝をリラックスする。
「よーい始め。」
楓がそう言って、俺は深く呼吸を始める。10秒吐いて、10秒止めて、10秒吸う。それを3回。肺を大きく広げて、肺を起こしていく。
「終わり。腹圧いきまーす。よーい始め。」
次は腹圧。まずはそのままの体勢で腹圧を入れる。30秒経ったらストリームラインを組んで、もう一度腹圧を入れる。
「終わり。話始まったら呼ぶからみんなはストレッチしといて。あ、今日出る種目ないメンバーはこっち来て。やること教えるから。」
楓も今日で引退だ。だから今日1日で全てを教えて、引き継がないといけない。
「奏さんも海南さんもラストっすか。」
「夢は近畿残ったからな。そこまでは続けるみたい。」
「寂しくなるな。」
隣でストレッチをする藍はそう呟く。
「そんなの、俺もさ。」
俺は今日でこの6年間の水泳人生が終わる。だから、少しくらい寂しく感じる。
ストレッチをしながら楓が呼びに来るのを待ち、そして、全身の筋肉を解して、ストレッチを終えた。
一足先にスタンドに戻ると、楓がラップ表にレーンを書き込んでいた。
「俺何レーン?」
「4の2。その後はちょっとしてから志帆の1ブレがある。どうせダウンなんかせずに帰ってくるんやろ。」
「もちろんや。必要ないからな。」
誰もいないメインプールを見て、1度深呼吸をする。
「あんまり気張らんようにな。いつも通りやったら絶対タイム出るねんから。」
「あぁ、いつも通り。」
今日はエキシビションと捉えているが、それでもやっぱりタイムは欲しい。スタンスはずっと変わらない。
「いつも通り、いつもを超える。」
俺は静かに呟いて、自分の席に座る。
「うん、それでいい。」
楓はそう言って、ほかのみんなを呼びに裏に行った。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる