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インタイ
いんたい⑩
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家に帰って、クラブバッグを置いてそのまま、ソファーに倒れ込む。
「おーい。水着洗わんでええんかいな?」
「洗ってる。向こうで。」
「じゃあ干さんでええんかいな?」
「干さなあかんなぁ。」
そんなことを言いながらも、このソファーの心地よさには抗えない。
「はぁ。じゃあ勝手に出して干しとくね。」
「ん。ありがと。」
楓は俺のバッグから今日履いた試合用水着を出して、2階に上がって行った。
その後ろ姿を見送った俺は、そのまま眠りについた。
〇〇〇〇〇
水着を干して降りてきたら、奏が寝ていた。
「やっぱり寝てる。無理しちゃって。」
私はその前髪をそっと触れる。少し湿った、ちょっと硬い髪が横に流れた。
奏が戻ってきたときのあの顔。相当悔しかったんだろうなと思う。こんなにやってきたのに去年から1秒しか伸びなくて、ずっと目標にしてきた田辺先輩を越えられなくて、悔しいんだろうなと思う。でも、無理して笑ったその顔で、私がどうしたらいいのかすぐに分かった。
だからあんなことを言った。酷いことを言ったのは分かっているからちゃんと労いもした。だけどそれだけじゃ物足りなくて、裏に行こうとしている何人かを引き止めた。無駄なお節介だったかもしれないけど、私がやりたいことをやった。それだけだ。
しばらく奏の寝顔を見ていたら、私も眠たくなったので、1度眠りにつくことにした。
目が覚めるとまだ奏は寝ていた。私はソファーの座面を枕にするように床に座りながら寝ていたので、ちょうど目が覚めたら奏の顔がすぐそこにあった。
時間は5時半。外ではゆうやけこやけが流れている。
「さぁてと、とりあえず晩御飯作ろっか。疲れてるやろうから消化にいいものを。」
私は立ち上がってキッチンに向かう。手を洗って、冷蔵庫から具材を出した。
今日作るのは塩焼きそば。まぁ、簡単だ。慣れた手つきで作っていったら15分もかからずに作りきった。
その匂いにつられたのか、奏もちょっと動きを見せた。
「奏、晩御飯作ったよ。」
私がそう声をかけると、奏はむくりと起き上がって私の方を見る。
「俺、寝てた?」
「寝てた。」
「何時間ぐらい?」
「ん~、2時間ぐらい。」
「まじかー。まぁいいや。もうご飯?」
「そそ。ストレッチもしたいやろ。」
「やな。」
奏もしっかり目が覚めたようで、ググッと伸びをすると、こっちに来た。
「楓、会場で気ぃ遣ってくれたやろ。ありがとな。」
「まぁ、何年奏の彼女やってる思うてんねん。奏の考えてることぐらい分かるわ。」
出来上がった焼きそばを盛った皿を運ぼうとしたら、奏が後ろから抱きしめてくる。
「運ばれへんねんけど。」
「いいやん。ちょっとぐらい。」
「おーい。水着洗わんでええんかいな?」
「洗ってる。向こうで。」
「じゃあ干さんでええんかいな?」
「干さなあかんなぁ。」
そんなことを言いながらも、このソファーの心地よさには抗えない。
「はぁ。じゃあ勝手に出して干しとくね。」
「ん。ありがと。」
楓は俺のバッグから今日履いた試合用水着を出して、2階に上がって行った。
その後ろ姿を見送った俺は、そのまま眠りについた。
〇〇〇〇〇
水着を干して降りてきたら、奏が寝ていた。
「やっぱり寝てる。無理しちゃって。」
私はその前髪をそっと触れる。少し湿った、ちょっと硬い髪が横に流れた。
奏が戻ってきたときのあの顔。相当悔しかったんだろうなと思う。こんなにやってきたのに去年から1秒しか伸びなくて、ずっと目標にしてきた田辺先輩を越えられなくて、悔しいんだろうなと思う。でも、無理して笑ったその顔で、私がどうしたらいいのかすぐに分かった。
だからあんなことを言った。酷いことを言ったのは分かっているからちゃんと労いもした。だけどそれだけじゃ物足りなくて、裏に行こうとしている何人かを引き止めた。無駄なお節介だったかもしれないけど、私がやりたいことをやった。それだけだ。
しばらく奏の寝顔を見ていたら、私も眠たくなったので、1度眠りにつくことにした。
目が覚めるとまだ奏は寝ていた。私はソファーの座面を枕にするように床に座りながら寝ていたので、ちょうど目が覚めたら奏の顔がすぐそこにあった。
時間は5時半。外ではゆうやけこやけが流れている。
「さぁてと、とりあえず晩御飯作ろっか。疲れてるやろうから消化にいいものを。」
私は立ち上がってキッチンに向かう。手を洗って、冷蔵庫から具材を出した。
今日作るのは塩焼きそば。まぁ、簡単だ。慣れた手つきで作っていったら15分もかからずに作りきった。
その匂いにつられたのか、奏もちょっと動きを見せた。
「奏、晩御飯作ったよ。」
私がそう声をかけると、奏はむくりと起き上がって私の方を見る。
「俺、寝てた?」
「寝てた。」
「何時間ぐらい?」
「ん~、2時間ぐらい。」
「まじかー。まぁいいや。もうご飯?」
「そそ。ストレッチもしたいやろ。」
「やな。」
奏もしっかり目が覚めたようで、ググッと伸びをすると、こっちに来た。
「楓、会場で気ぃ遣ってくれたやろ。ありがとな。」
「まぁ、何年奏の彼女やってる思うてんねん。奏の考えてることぐらい分かるわ。」
出来上がった焼きそばを盛った皿を運ぼうとしたら、奏が後ろから抱きしめてくる。
「運ばれへんねんけど。」
「いいやん。ちょっとぐらい。」
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