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インタイ
いんたい⑤
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召集所までを藍と一緒に歩く。
「お前絶対決勝行けよ。お前なら行けるから。」
「もちろん。明日の応援頼むで。」
藍は決勝に手がかかっている。エントリーランキング的には全然足りていないが、本人はまだいけたようで、中央は決勝に行くと意気込んでいる。
ADカードと、水着のマーク、使うキャップを見せて、召集所に入った。目の前で始まろうとしているのは予選の1組。神々の領域に達しているメンバーだ。インハイの大会記録を持っているやつ、400でインハイに行っているやつ。大阪で水泳をやってるメンバーなら誰でも知っているようなビックネームが連なっている。
俺はもう一度集中力を高めていく。たまにタイムを確認しながら、センターで泳いでいる化け物のタイムに笑いながら、18分を無駄にしないように待つ。
色んな応援が聞こえる。応援をしているみんなも20分近く叫びっぱなしだ。それはきっとうちの学校のみんなだってそうで、そんな応援を何回も俺はして貰っている。
「ふぅーーーー。っし。」
これで最後の1500だ。もう二度とこんな距離を泳ぐことはないだろう。だからこそ、ラストくらいはベストを出して、みんなのところに笑顔で帰りたい。
キッャプを被り、ゴーグルをして、その上からシリコンを被る。ジャージを脱ぎ、持ってきた袋の中に入れて、インシューズを脱ぐ。
役員の人に声をかけられ、そしてレーンに入っていく。測ってくれる役員の人に挨拶。プールに挨拶。飛び込み台の羽の位置を自分のところに合わせて、ルーティーンを始める。
飛び込み台に手を置いて肩を伸ばす。右、左、両方。
肩を回す。右腕から前5回後ろ5回。次に左腕も同様に前5回後ろ5回。
大きく息を吐く。
右足から足の筋肉の緊張を解いていく。ブラブラと振って、無駄な緊張を無くしていく。左足もやる。
首を鳴らす。コキッコキッと音がする。
そして最後に人差し指だけを鳴らす。親指を人差し指に引っ掛けて、引っ張ってきたら音が鳴る。これでスイッチが入る。
これから泳ぐプールを見る。こんなに長くこのプールで泳ぐことはもうないだろう。誰にも邪魔されない。誰も邪魔できない。俺だけのレースだ。
スタンドから楓の声が聞こえる。そのことに気づいて軽く手を上げると、スタンドから歓声が聞こえた。
―ピッピッピッピッ…ピー
電子ホイッスルの音が鳴り、俺は飛び込み台に上がった。手を2回叩き、そして飛び込み台に手をかける。右足の指を飛び込み台の端にかけ、左足を引く。そして羽に足をかけた。
「Take your marks…」
会場が静かになる。水が流れる音と、自分の鼓動しか聞こえてこない。
つーーっと細く息を吐く。
―ピッ
音が鳴り、俺は飛び込んだ。
「お前絶対決勝行けよ。お前なら行けるから。」
「もちろん。明日の応援頼むで。」
藍は決勝に手がかかっている。エントリーランキング的には全然足りていないが、本人はまだいけたようで、中央は決勝に行くと意気込んでいる。
ADカードと、水着のマーク、使うキャップを見せて、召集所に入った。目の前で始まろうとしているのは予選の1組。神々の領域に達しているメンバーだ。インハイの大会記録を持っているやつ、400でインハイに行っているやつ。大阪で水泳をやってるメンバーなら誰でも知っているようなビックネームが連なっている。
俺はもう一度集中力を高めていく。たまにタイムを確認しながら、センターで泳いでいる化け物のタイムに笑いながら、18分を無駄にしないように待つ。
色んな応援が聞こえる。応援をしているみんなも20分近く叫びっぱなしだ。それはきっとうちの学校のみんなだってそうで、そんな応援を何回も俺はして貰っている。
「ふぅーーーー。っし。」
これで最後の1500だ。もう二度とこんな距離を泳ぐことはないだろう。だからこそ、ラストくらいはベストを出して、みんなのところに笑顔で帰りたい。
キッャプを被り、ゴーグルをして、その上からシリコンを被る。ジャージを脱ぎ、持ってきた袋の中に入れて、インシューズを脱ぐ。
役員の人に声をかけられ、そしてレーンに入っていく。測ってくれる役員の人に挨拶。プールに挨拶。飛び込み台の羽の位置を自分のところに合わせて、ルーティーンを始める。
飛び込み台に手を置いて肩を伸ばす。右、左、両方。
肩を回す。右腕から前5回後ろ5回。次に左腕も同様に前5回後ろ5回。
大きく息を吐く。
右足から足の筋肉の緊張を解いていく。ブラブラと振って、無駄な緊張を無くしていく。左足もやる。
首を鳴らす。コキッコキッと音がする。
そして最後に人差し指だけを鳴らす。親指を人差し指に引っ掛けて、引っ張ってきたら音が鳴る。これでスイッチが入る。
これから泳ぐプールを見る。こんなに長くこのプールで泳ぐことはもうないだろう。誰にも邪魔されない。誰も邪魔できない。俺だけのレースだ。
スタンドから楓の声が聞こえる。そのことに気づいて軽く手を上げると、スタンドから歓声が聞こえた。
―ピッピッピッピッ…ピー
電子ホイッスルの音が鳴り、俺は飛び込み台に上がった。手を2回叩き、そして飛び込み台に手をかける。右足の指を飛び込み台の端にかけ、左足を引く。そして羽に足をかけた。
「Take your marks…」
会場が静かになる。水が流れる音と、自分の鼓動しか聞こえてこない。
つーーっと細く息を吐く。
―ピッ
音が鳴り、俺は飛び込んだ。
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