陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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インタイ

ちくまえ

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 引退まで残り8日。練習の回数はあと5回。本格的に終わりも見えてきた。

「奏、大丈夫なん?ここ最近ずっと泳いでるけど。」
「ん?あぁ、別にどこか痛いとかそんなんないし、上手いこと疲れ取れてるから。それより、楓こそ大丈夫なんか?マネージャー新しく入ってこーへんし。」
「確かに。私おらんようなったら先生に全任せになんな。」

2年も1年もマネージャーは楓以外いない。瑛二も選手に戻って、この地区大会から復帰戦だ。そんななのにもうレギュラーは確定していて、やっぱりすごいんだなと思わさる。

 明日には地区大会だ。俺はもう400mでは制限を切っている。これはピー也とやり合った最後の400で出た記録で、それからはベストが出ていない。1500は短水路だけでしか切れていないから、明日タイムを切らないといけない。

「9秒3。今の何割ぐらい?」
「7割ぐらい。1500はギリ続けられんぐらいやな。」
「1本ってこと考えたら、ペースは15ぐらいでいけるか。」

帰ってきてから次に出るまでの間に楓と軽く話しながら、レースの方針を練る。今日の練習は100m15本の1500mレースペースの練習だ。俺と藍は本格的にレースを想定して、楓にペースをメモって貰いながら練習を進める。

 憲士は中央大会の種目が1500mではないから、今日はmiddleの練習をやっている。

「ぃきまーす、せーいごー。」

藍が出たあと10秒後に俺が出る。いつも通りだ。

 それにしても、ここ最近は本当に調子がいい。というか、楽に泳ごうとすればするほど速くなる。不思議な話だ。

「0秒2。キープなキープ。後半が6秒3やから、1500やったら12ペース。今日はとりあえずこんくらいでいこ。」
「おけ。」

藍はこんな俺よりもさらにもっと速い。隣で泳いでいるのを見ていて、本当に化け物だと気付かされる。でも、そんな藍でも中央大会の決勝は難しい。

 今日の練習も終わって、ダウンを泳ぎきる。

「奏ならこの調子ならベスト出るんちゃう?1年ぶりのベスト。」
「そーやといいんやけどな。」
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