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インタイ

しんゆう③

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「それで、引退は結局中央?」
「まぁその気。終わらすなら1500で終わらせたいんやけど、400もなんか出なあかんみたいやから、エキシビションみたいにするつもり。」

ピザを食べて、水を飲みながらそんなことを話す。実際、対抗までは残ってもいいと思ってるけど、独自テストとか、文系での外部受験とかも別に狙えるから、それの勉強の期間も必要なのだ。

「俺はとやかく言うつもりはないけど、悔いは残らんようにしろよ。俺は残らんかったから、あんな感じで辞めてこんな感じやし。」
「どんな感じやねん。」

もうピザはない。水しかないけど、この空間の居心地が良すぎて、帰りたくない。

「ピー也はさ、絵空さんが別大学行きたいって言ってたらどうしてたと思う?」

俺の中に今1番膨れ上がっている悩みはこれだ。もし、俺が別大学に受かったとして、それを楓がどう思うかだ。もしかしたら一人暮らしを始めないといけないかもしれないし、会えるのだって今みたいに毎日じゃなくなる。そんな日々が続いて、不安に思われたくないのだ。

「どうやろな。俺は別にどっちでもええし、お互いに時間作って会ったらいいだけやんって思うで。今日みたいにさ。でも、女子側の考えって分からんからな。」

グラスに入った氷をカラカラと鳴らして、水を飲む。

「俺たちやって別学部や。この高校生活ほど毎日会うなんて無理やし、それなりに絵空は不安に思ってるやろうな。実際俺たちにも危ないときはあった。けど、こうやって続いてる。お互いに言いたいこと言い合って、それで答え出すんが1番いいんちゃう?」

ピー也はそう言って「知らんけど」と付け足す。

 こんな相談、こいつ以外には出来ない。絵空さんとのことで相談に何回も乗ってきて、信頼を築き上げてきた。そんなピー也にしか言えない。

 引退前だから色んなことでナイーブになっているんだろう。でも、相談出来る親友がいるってのはいいものだ。

「そういえば、お前、公表してたけど、先生からは何も言われてへんの?お前も部内恋愛禁止やろ?」
「俺たちはまともなお付き合いをしてるんで。馬鹿みたいに先生の前でイチャついてるあいつらと一緒にすんな。」

グラスの水を飲みきって、時間を確認する。9時半を過ぎたところだった。

「もうそろそろ帰るか。ピー也、行くぞ~。」
「おけおけ。ちょっと待て。ここは俺が出すわ。稼いでるし。」
「せんぱーい!ありがとーございます!」

俺が財布を出すのを止めてピー也が財布を出したので、猫なで声で感謝を伝える。

「キモっ。やっぱ自分の分は自分で出せ。」
「けちー」

結局出してくれた。
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