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インタイ

いつから

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 いつから俺はこんなに水泳を好きになったのだろう。いつの間にか俺は水着を履いていて、学校が終わったらプールに足が向くようになっていて、水に入るのが特別じゃなくなっていた。

「あと19日やな。」
「あぁ。そうやな。」

倫也と喋りながらプールまでの道を歩く。俺たちの引退はもうすぐやってくる中央大会。その先に近畿とかインハイとかがあるけど、そんなところに行けるような実力ではないので、あと19日しかないのだ。

「俺たちようここまで続いたよな。」
「たしかに。あんな練習よう耐えたわ。」

幾度となく上がってきた坂。階段。そして潜り抜けてきたプールの玄関。練習前は文句タラタラで、「こんなん出来るわけない」とか叫んだりしてきたプールサイド。その全てがもう寂しく感じる。

 靴箱に靴を入れようとしたら、見覚えのある靴がある。その靴を見ただけで誰が来たのか分かった俺は、思わず笑みを隠しきれない。

「ピー也!おひさ!」
「おっ、来た来た。来てやったで。」

更衣室にいるのは久しぶりに見る親友の姿。2年間、ずっと同じコースで泳いできて、何度も試合で隣になってきた、ピー也の姿だった。

 不思議と心が軽くなった気がする。どれだけ泳いでも上がってこないタイムに少し焦っていたけど、ピー也の顔を見るだけで、なんかどうでも良くなってきた。去年の今頃は全力で水泳を楽しんでいたことを思い出す。

「なんで俺、忘れてたんやろ。」
「なんて?」
「いや、何もない。」

この親友はそんなこと考えてないのかもしれないが、実際、去年は本当に心の支えになっていた。2人で競い合って、追いついて、引き離して、ぐるぐると回り続けた2年間は、それほどまでに濃いものになっていたのだ。

 そんな俺のことはつゆ知らず、ピー也は笑いながら言ってくる。

「大学入ってほとんどのカップル別れたぞ!」
「なんでそんな嬉しそうやねん。」
「やって、俺んとこはまだ続いてるから。一時期危なかったけど、どうにかなってんもん。」

そう言って笑うピー也はバカそのものだ。でも、今の俺にはそれくらいのバカが必要で。

「ピー也んとこは別学部やんな?」
「せやで。」
「ほんなら危ないんちゃう?」
「危ないんやったら、今日の練習終わりドーナツ持ってきてくれへんやろ。」
「その話聞いてへんねんけど。」
「もちろん今初めて言ったからな。」

急に惚気だして、しれっとラブラブアピールしてくるところあたり、この2人はあんまり変わってないんだなと安心する。

「なら、ドーナツ美味くなるようにdistanceやな。」
「はぁ?死ぬ死ぬ!無理無理!嫌ぁー!」
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