568 / 773
セナカヲ
私たちは球技大会Ⅲ①
しおりを挟む
―時間は遡って決勝前
「楓、相手があいつらって…」
「うん…燃える。」
私たちの相手はQたち去年の優勝メンバーを多数擁するI組。予選でもぶつかったが、私たちの惨敗で、去年から今まで1回もQたちには勝てていない。
それに対して私たちG組は、きいや私たちなど、1年のときの優勝メンバーが揃っている。勝てない勝負ではないはずだ。
目の前でやっている3位決定戦はあともう少しで終わりそう。結果もほぼ決まっていて、桜たちH組が勝ちそうだ。
「みんな、ちょっと集まって。」
最後の作戦会議。私はみんなにこう呼びかけた。
「全力で楽しもう!」
ピーッとホイッスルが鳴って、目の前の試合が終わる。桜たちは3位。2年連続のブロンズだ。
そして私たちのチームがコールされる。コートに向かって歩いていると、桜と目が合った。
「本当は久志に勝って欲しいけど、全力で倒してね。久志が負けてる姿、見てみたいから。」
「桜ってもしかして結構S?」
「さぁ。でもこれで久志たちが勝ったら3連覇やろ?それはちょっと嫌やもん。」
「嫌って。ちょっと彼女さん?彼氏の勝利は願わんの?」
「それは建前であって、私のエゴは楓たちに勝って欲しいってこと。じゃ、頑張ってね!」
そう言いながらヒラヒラと手を振り、自分のスタンドに戻っていく。
「相変わらず変なやつ。」
でも、むしろこんな感じになったのは久志のおかげ的なところもある。
「まぁ、親友に応援されたからには勝ちますか。」
私はぐっと伸びをしてコートに入った。
去年と今年でI組はそんなにメンバーが変わっていない。理系2クラスはだいたい半々位でシャッフルされるはずなのに、いざ蓋を開けてみれば7:3くらいだ。
「整列!」
審判である和香が声をかける。そして私たちは向かい合った。
『お願いします!』
まずは私たち女子の勝負。それぞれのコートに分かれて、外野に3人出る。ボールはこっちからだ。
ボールを持った私は、花胡の方を指さす。すると笑いながら応えてくれた。やっぱり決勝の始まりはこれじゃないと始まらない。
周りの女子も空気を読んでくれて、左右に分かれて私たちの邪魔をしないようにしてくれる。
「それでは、決勝戦。スタートです。」
そんなアナウンスとともにホイッスルが鳴った。
私は1度呼吸を整えてから花胡の方を見る。めちゃくちゃ笑っていて、この勝負を純粋に楽しんでいる。私の顔はどうだろう。強ばっているかな?緊張してるかな?でも、そんなの関係ない。全力で楽しむ。それだけだ。
「楓、相手があいつらって…」
「うん…燃える。」
私たちの相手はQたち去年の優勝メンバーを多数擁するI組。予選でもぶつかったが、私たちの惨敗で、去年から今まで1回もQたちには勝てていない。
それに対して私たちG組は、きいや私たちなど、1年のときの優勝メンバーが揃っている。勝てない勝負ではないはずだ。
目の前でやっている3位決定戦はあともう少しで終わりそう。結果もほぼ決まっていて、桜たちH組が勝ちそうだ。
「みんな、ちょっと集まって。」
最後の作戦会議。私はみんなにこう呼びかけた。
「全力で楽しもう!」
ピーッとホイッスルが鳴って、目の前の試合が終わる。桜たちは3位。2年連続のブロンズだ。
そして私たちのチームがコールされる。コートに向かって歩いていると、桜と目が合った。
「本当は久志に勝って欲しいけど、全力で倒してね。久志が負けてる姿、見てみたいから。」
「桜ってもしかして結構S?」
「さぁ。でもこれで久志たちが勝ったら3連覇やろ?それはちょっと嫌やもん。」
「嫌って。ちょっと彼女さん?彼氏の勝利は願わんの?」
「それは建前であって、私のエゴは楓たちに勝って欲しいってこと。じゃ、頑張ってね!」
そう言いながらヒラヒラと手を振り、自分のスタンドに戻っていく。
「相変わらず変なやつ。」
でも、むしろこんな感じになったのは久志のおかげ的なところもある。
「まぁ、親友に応援されたからには勝ちますか。」
私はぐっと伸びをしてコートに入った。
去年と今年でI組はそんなにメンバーが変わっていない。理系2クラスはだいたい半々位でシャッフルされるはずなのに、いざ蓋を開けてみれば7:3くらいだ。
「整列!」
審判である和香が声をかける。そして私たちは向かい合った。
『お願いします!』
まずは私たち女子の勝負。それぞれのコートに分かれて、外野に3人出る。ボールはこっちからだ。
ボールを持った私は、花胡の方を指さす。すると笑いながら応えてくれた。やっぱり決勝の始まりはこれじゃないと始まらない。
周りの女子も空気を読んでくれて、左右に分かれて私たちの邪魔をしないようにしてくれる。
「それでは、決勝戦。スタートです。」
そんなアナウンスとともにホイッスルが鳴った。
私は1度呼吸を整えてから花胡の方を見る。めちゃくちゃ笑っていて、この勝負を純粋に楽しんでいる。私の顔はどうだろう。強ばっているかな?緊張してるかな?でも、そんなの関係ない。全力で楽しむ。それだけだ。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。


可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる