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セナカヲ

私たちは球技大会④

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 男子は一瞬で勝って、今は昼休み。順調に勝ち進んだ私たちは珍しくクラス全員が揃って昼食を食べる。

「まさか杏があんなボール投げるとはな。」
「意外やった?」
「そりゃあそうやん。あのボールは男子でも通じるで。もちろん木美野さんのもやし、朝霧さんのも。」

憲士はご飯を食べながら私たちにそう言う。

「そんな褒めても何も出ーへんで。透華もそうやろ?」
「ま、まあ、捉え方によっては『男勝り』って言ってるだけやし。そんなの褒め言葉って捉えられへんから。」
「2人とも辛辣すぎんか?」

透華はこの球技大会で私たちとの関わりが深くなったこともあり、私たちのグループに入ることになった。まあ、普段はバレー部のグループにいるからクラスの中だけの話だけど。

 透華は内部生のバレー部。中学の頃からバレーをしていて、キャプテンでエースだったようだ。高校でももうスタメンの1人になっていて、運動神経抜群、成績も優秀。そして何より可愛い女の子だ。

 私たちは無事決勝に進出することになった。3年生はバカ兄たちI組と加太先輩たちG組が決勝。桜さんたちH組は3位決定戦に進むようだ。でも、実際3年生はこの三強で上位は決定だろうと予想されている。

「んで、俺たちは次F組と戦うのか。予選は俺たちと同じく圧巻だったみたいだな。」

組み合わせ的に予選は当たらなかったF組。得失点差で並んでいる2クラスでの決勝カードは、注目カードの1つとなっているようだ。

「まぁ、私たちは何とかして買ってくるから、憲士たち男子にかかってるんやけどね。」
「それは俺たちの主力に言ってくれよ。」

昼食を食べ終えて、片付ける。リュックの底に弁当を沈めて、乾いた喉をスポーツドリンクで潤した。

 ちょうどそのときドアから入ってくる影が見えた。見覚えがありすぎる1人だ。

「バカ兄、なんでおんの?」
「ん?あ、おったおった。決勝のあとのエキシビション。3年生の優勝チームが1,2年の優勝チームのどっちかを選んでやるんやけど、俺も奏も1-Cを選ぶって決めたから勝ってこいよ。」

バカ兄はそれだけ言って教室を出ていく。

 教室はしばらく沈黙に包まれた。そして、校舎を揺らすほどの驚きの声が轟く。

『えぇーーーー!』
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