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セナカヲ
私たちは球技大会②
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男女交代になって、バカ兄と加太先輩がコートに入る。
「次はこの2人か。」
「加太先輩強そうやもんね。さすがに加太先輩に軍配が上がりそう。」
真奈はそんなことを言う。まあ、傍から見たらバカ兄なんて弱っちそうの一言に尽きる。が、現実は少し違う。
この2人は知らないだろうが、小学校のとき、バカ兄たちの学年はほぼ全員でドッジボールをしていた。コートには50人以上いて、コートの広さも、今やっているコートの倍はあった。そんなところで野球チームに入っている猛者どもと一緒にやりあっていたのがバカ兄だ。
バカ兄はボールを持って加太先輩を指さす。それに応じるように加太先輩が前に出てきて、その周りの人が離れていった。楓さんは「またやってる」みたいな顔をしている。去年もそんな感じだったのだろうか。
ホイッスルの音がして、試合が始まった。バカ兄は2回ボールをつき、ボールを投げた。ボールはまっすぐ加太先輩のほうに向かう。そして、曲がって浮いた。
すぐにボンと鈍い音がして、ボールが転がる。バカ兄は「してやったり」みたいな顔をして、加太先輩は悔しがっている。コートの周りにいるさっきまで戦っていた楓さんたちは他のコートと明らかに違う、熱狂に包まれている。
「なあ、今お前の兄さんのボール浮いたよな。」
「浮いたね。」
「どんな原理で?ヤバない?」
「そーかな?」
「私にもできるし。なんなら私がよくやっていたボールやし」ってことは言わなかった。だってそれなら試合の中で見せるほうが燃えるもんね。
結局バカ兄たちの試合は、バカ兄たちI組の勝利で終わった。
『次は1年生の試合です。事前に連絡していたコートに移動してください。』
アナウンスがかかり、私たちは荷物を持って、さっきまでバカ兄が試合をしていたコートに向かった。
その途中、バカ兄とすれ違う。目が合った。
「パクリ。」
「うっせ。」
私とそう言葉をかわすと、そのまま歩き去っていく。周りにいたバカ兄の友達も驚いた顔をしていたが、私の事なんか知らないからだろう。
バカ兄は昔はあんなボールを使わなかった。なんなら使っていたのは私だけで、よくバカ兄たちの学年のドッジボールに混ぜてもらっていたから、そこで身につけた技術だ。私のボールもバカ兄のボールも、『魔球』と影では言われていた。そんなことバカ兄は知る由もないけど。
でも、まさかもう一度あの快感を味わえるとは。もう胸が踊って仕方ない。
「整列!礼!」
『お願いします!』
「次はこの2人か。」
「加太先輩強そうやもんね。さすがに加太先輩に軍配が上がりそう。」
真奈はそんなことを言う。まあ、傍から見たらバカ兄なんて弱っちそうの一言に尽きる。が、現実は少し違う。
この2人は知らないだろうが、小学校のとき、バカ兄たちの学年はほぼ全員でドッジボールをしていた。コートには50人以上いて、コートの広さも、今やっているコートの倍はあった。そんなところで野球チームに入っている猛者どもと一緒にやりあっていたのがバカ兄だ。
バカ兄はボールを持って加太先輩を指さす。それに応じるように加太先輩が前に出てきて、その周りの人が離れていった。楓さんは「またやってる」みたいな顔をしている。去年もそんな感じだったのだろうか。
ホイッスルの音がして、試合が始まった。バカ兄は2回ボールをつき、ボールを投げた。ボールはまっすぐ加太先輩のほうに向かう。そして、曲がって浮いた。
すぐにボンと鈍い音がして、ボールが転がる。バカ兄は「してやったり」みたいな顔をして、加太先輩は悔しがっている。コートの周りにいるさっきまで戦っていた楓さんたちは他のコートと明らかに違う、熱狂に包まれている。
「なあ、今お前の兄さんのボール浮いたよな。」
「浮いたね。」
「どんな原理で?ヤバない?」
「そーかな?」
「私にもできるし。なんなら私がよくやっていたボールやし」ってことは言わなかった。だってそれなら試合の中で見せるほうが燃えるもんね。
結局バカ兄たちの試合は、バカ兄たちI組の勝利で終わった。
『次は1年生の試合です。事前に連絡していたコートに移動してください。』
アナウンスがかかり、私たちは荷物を持って、さっきまでバカ兄が試合をしていたコートに向かった。
その途中、バカ兄とすれ違う。目が合った。
「パクリ。」
「うっせ。」
私とそう言葉をかわすと、そのまま歩き去っていく。周りにいたバカ兄の友達も驚いた顔をしていたが、私の事なんか知らないからだろう。
バカ兄は昔はあんなボールを使わなかった。なんなら使っていたのは私だけで、よくバカ兄たちの学年のドッジボールに混ぜてもらっていたから、そこで身につけた技術だ。私のボールもバカ兄のボールも、『魔球』と影では言われていた。そんなことバカ兄は知る由もないけど。
でも、まさかもう一度あの快感を味わえるとは。もう胸が踊って仕方ない。
「整列!礼!」
『お願いします!』
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