陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

文字の大きさ
上 下
542 / 773
セナカヲ

私たちはGW①

しおりを挟む
 突然ですがお願いです。私たちにGWをください。

「なんちゅうナレーション当ててんねん。」
「だって~」

GW中のoffは1回。しかも他の日はだいたいニ部練やし、数日間は学校にも行かないといけない。鬼だ。鬼。私たちに休みを提供してくれ学校側!

 そんなこんなでGW直前に突入した私たちはある現実に直面していた。

「なあなあ、なんか練習キツなっていってへん?」
「やっと気づいた。ちょっと前からたまに狂ってるメニュー入ってきてんで。」

練習前のプールサイド。もうシート上げをすることもなくなって、道具を用意してからビート板の上に座り、真奈と駄弁る。

「まぁ、うちの学年も水泳部多くなってきたからいいんやけど。」
「せやな。同じ苦しさを味わうのが増えたのはいいことや。」

真奈は笑いながらそんなことを言う。

 うちの学年の水泳部は私たちを含めて9人。私と真奈、専門が平泳ぎの小野海琴と古橋史帆。ここまでが女子で男子が自由形短距離専門の秋山冬吾、バタフライ専門の藤岡蒼介、平泳ぎ専門の矢巾瞬、背泳ぎ専門の大浜彪牙、そして長距離専門の…

「憲士!遅いやん。今日掃除当番やったっけ?」
「ちゃうちゃう。練習後食うもん買っとってん。」

日高川憲士。私の隣の席のやつだ。隣の席なのもあって、私たちはよく喋るようになり、1ヶ月も経たないうちに仲良くなった。練習でもお互いにDistanceで泳いでいるのもあってよく喋るのだ。

「またふたりやってる。」
「なんやミコ。普通に喋っとっただけやけどなんかあったか?」
「なんもないなんもない。なっ、しほ。」
「あんたは早めにその喋り方直しーさ。緊張感の欠片もない。」
「えーめんどくさいー。」

ミコと史帆は中学からの内部生で、楓さんとも仲良かったようだ。2人とも入って来てすぐに『ちゃん』付けで呼んでいた。

「それに比べて杏ってまだ緊張してるやろ?」
「ふぇっ?」
「やって中学ん時はそんな喋り方ちゃうかったもん。」
「そうやったっけな?全く覚えてへん。」

真奈は私の喋り方がまだ硬いと言う。私としてはそこそこ慣れてきたかなって感じやねんけど。

「でも、日高川くんと喋るときだけは戻ってるで。」
「うおぉぉぉ!」
「冷やかすなアホ!」

すっかり1年のいじられキャラになってしまった私。まぁ、受け入れてるところもあるけど。

「体操!」

気づけば時間は体操が始まる時間。私が入ってきた頃はマネージャーをしていた龍神夢先輩が体操の号令をかける。夢って名前だけど、ちゃんと男子だ。

 人数も増えてきて、本格的にリレーを組めるようになった水泳部。夏のシーズンもこんな感じの雰囲気のままやるんなら、本当に楽しめそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

朝起きたらイケメンだったはずの俺がブサイクになっていた

綾瀬川
青春
俺は西園寺隼人。15歳で明日から高校生になる予定だ。 俺は、イケメンでお金持ち、男女問わず友達もたくさん、高校生で美人な彼女までいた。 いたというのが過去形なのは、今日起きたら貧乏な家でブサイクになっていたからだ。 ーーなんだ。この体……!? だらしなく腹が出ていて汚いトランクス履いている。 パジャマは身につけていないのか!? 昨晩シルクのパジャマを身に纏って寝たはずなのに……。 しかも全身毛むくじゃらである。 これは俺なのか? どうか悪い夢であってくれ。 枕元のスマホを手に取り、 インカメで自分の顔を確認してみる。 それが、新しい俺との出会いの始まりだった。 「……は?」 スマホを見ると、超絶不細工な男がこちらを見ている。 これは俺なのか?夢なのか? 漫画でお馴染みの自分の頬を思い切りつねってみる。 「痛っっっ!!!」 痛みはばっちり感じた。 どうやらいまのところ夢ではなさそうだ。 そうして、俺は重い体をフラフラさせながら、一歩を踏み出して行った。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...