陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

セナカヲ

俺たちは京都①

　高3になって初めての学校行事。それは京都観光だ。

「じゃあまた後でな。」
「うん。あとで。」

今回は北海道とは違って俺は桜とは別行動。新クラスになって最初からクラスの奴らとバラバラってのはやめておこうということになったのだ。

　今年は俺たちは基本的に固まった。俺も船戸さんも戸津井さんもI組で桜と音羽は変わらずH組。そして奏と楓、きい、カレンが今年は固まってG組になった。しかも全員同じ階になったので、今年は顔を合わせる機会が多そうだ。ちなむと聡はJ組、琴さんはA組、白野もA組になった。

　入線してくる電車の窓を眺めていると、音羽と柚さんを見つける。向こうも俺に気づいたようで軽く手を振ってきたので振り返した。

　そして俺が乗るドアのところにはいつものメンバーがいた。

「おはよ。」
「おっはー。」
「おーっす。」

船戸さん、戸津井さん、そして聡。イツメンだ。

「おはよ。みんな朝早くからごめんな。」
「ええで～。時間は有効活用しないと。」

今日の集合は9時30分なのに今は8時過ぎ。京都までは1時間以内に到着するのになぜこんなに早い集合にしたかというと、先に先生おすすめのスポットを回るためだ。

　今回の京都観光での課題は先生おすすめのスポットでの写真と、京都観光する人へのおすすめ文。文章くらいは京都に行かずとも書けるかもしれないが、写真は現地に行かないと撮れない。そして自分たちが行きたいところを観光する時間を含めた自由時間は5時間ほど。長いようで短い時間だ。

　だから集合前に先に先生おすすめのスポットだけでも回ろうということになったのだ。桜たちにこのことを話したら、「私たちも行く!!」ということで、同じ電車に乗ることになった。でも実際現地では別行動をする予定で、今回はお互いに一緒に回ることはなしってことになっている。

「今回は有田さんと回らんで良かったんか？」
「たまにはこのメンバーで過ごす時間も欲しいやろ。高校生活はあとほぼ8ヶ月しかないんやし、学校でしか会えへんお前らと回る方が満喫できると思ったんよ。」

俺がそう言うと、3人は俺の方を見る。

「由良くんってそんなこと言えるんやぁ。」
「やばい。ちょっと泣きそう。」
「久志にそんな一面があるとは。知らんかったわ。」
「お前らやめろって。ほら、乗り換え乗り換え。」

電車は枚方市駅に到着したので、ここで乗り換えだ。久しぶりに特急に乗る。

　電車を降りると1両離れたところに乗る桜と目が合った。

「アイ♡コンタクトすな。」