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セナカヲ

私たちは水泳部②

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 プールサイドに出てみると、男子たちが不思議なことをしていた。

「楓さん、これって?」
「あぁ、朝とかまだ寒かったりするやん。やからプールが冷たくならんようにシートひいてるんよ。やからプール入る前にシート引き上げてんの。あっ、ラス1まだ残ってるから上げてみる?」

中学時代はプールが使えるようになってからしばらくは寒さと戦いながら泳いでいた。だから、こんな感じにするなんて知らなくて、これがここの高校が冬でも泳げる理由の1つなんだなと思った。

 楓さんと逆サイドのプールサイドに回って、シートを持ち上げてみる。そして引っ張った。

(重っ)

軽く引っ張っただけなのにめちゃくちゃ重い。そりゃあ真ん中の方みずたまってるもんな。重いわけだ。

「変わろっか?杏ちゃん。」
「あっ、加太さん。お久しぶりです。」
「おひさ。結局ここにしてんな。」
「はい。ここなら頑張っていけると思うんで。」

シートは加太さんに託して、その近くを歩いて行く。向こうサイドでは楓さんが「ちょっと奏、落とさんといてや!」とか「真奈ちゃんも手伝って!」って叫んでいる。

 25mを引っ張りきって、加太さんに1番近いところでシートの引き上げを手伝う。

「ここの繋ぎ目の手前で引き上げて、水を流してから折るねん。」

加太さんがやっているように引き上げてみる。するときちんと水がプールの方に流れて、折ったところには水が入っていない。またシートをひくときに水がないからひきやすくなっているんだろう。

 とりあえずシートを引き上げ終わって、管理室側のプールサイドに全員が移動していく。

「ビート板取ってきて。そんで好きな場所に置いて体操な。」
「「はい!」」

ビート板を和香さんの隣に置いて、周りの距離をとる。真奈は川北唯奈先輩の隣に場所をとった。

「体操~!」
『えーい!』

部長らしき人が声をかけて体操が始まる。中学時代とは全く違う体操だ。動作を一つ一つ教えて貰いながら体を動かしていく。

 そして呼吸や姿勢を整えて、ストレッチ系。1個1個の動作をこれまたしっかり教えてもらう。中学時代は何となくやっていた動作も、意識してみると効いてきている感じがする。

 そして体幹、腹筋をして体操とドライラントをして集合した。

「今日の練習は新入生も入ってきて初めての練習なので、盛り上がって頑張っていきましょう!」
『はい!』

さっき体操をした先輩が一言を言う。先生はまだなので、私たちだけの練習だ。

「これから練習を始めます!お願いします!」
『お願いします!』

まずは中心を向いて一礼。そして、プールの方を向いた。

「気をつけ!礼!」
『おーしゃす!』
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