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アケボノ

ルスツ㉓

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 そして4日目の朝がやってきた。

「今何時?…1時か…眠くねぇな。」

結局昨日の晩は色々ありすぎて、すぐ寝てしまった。だからこんな時間に起きることになったのだが。

 とりあえずコーヒーを飲んで目を覚ます。クラスの男子グループのRINEには徹夜するだのどうのこうのが書かれていた。

『おはよう』

とりあえずこれだけ送って、ゲームを開く。今日はもうあいつらも寝てるだろうし、リーグに潜るか。

 そんな感じで始めたゲーム。でも、頭の中によぎるのはきいのことだ。

(これからどうやって接したらいいんだろう。)

何も変わらずでいいのか?でも、多少は気にしてしまう。やっぱり。

 といいつつもゲームに集中して何とか1戦勝つ。そのまんまぼーっと天井を眺めた。

(まずはきいがどうしたいかよな。)

俺としては今まで通り仲良くしたい。一緒に遊んだり、帰ったりすることが少なくなったとしても、きいは大切な幼馴染だ。その繋がりが消えてしまうのだけは俺は絶対に嫌だ。

 そんなことを考えていたら2戦目が始まろうとしていた。


 結局4時過ぎまでやって、2杯目のコーヒーを飲む。もうそろそろカフェインの妖精がチラリズムしてきそうだったから。

「トイレ行こ。」

そう呟いてトイレに向かう。生憎、俺の領地は部屋の一番奥でトイレから遠い。だから、自然と2人の足元を通らないといけないのだ。

「2人ともよう寝てるよな。」

2人は昨日一昨日よりもさらに深く眠っている。それほどまでに疲れたのだろう。

「俺は疲れすぎて起きてしまったけど。」

あれだけ現実逃避をしたのに思い浮かぶのはきいの事。やっぱりどこかでケジメをつけないとな。

 手を洗って、またさっきの椅子に座る。そして、次は小説のサイトを開いた。

「何読もっかな?これか。」

最近は勉強だのなんだのかんだので忙しかったから、そこまで読めていなかった。とりあえず更新されている分だけ読む。

 気がつけば5時を回っていた。起床時間まではあと1時間か。もうちょっと寝かしてやるのもいいな。俺たちは点呼遅いし。

 カーテンを少し開けて外を見てみると、相も変わらず素晴らしい銀世界が広がっている。もうこの北海道の朝を過ごすのも最後だ。

 楽しかったの一言ではまとめきれないほどの思い出がここにはある。スマホの写真フォルダの中にある、大量のゲレンデの写真。そして、この部屋でアホみたいに騒いだ写真。そして、色んな記憶。

 その全部が答えを導いているようだった。
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