陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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アケボノ

ルスツ㉑

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 私はひい君に嘘をついたことがない。まず、ひい君にならついても気付かれるだろうし。それに、ひい君には嘘をつきたくないから。

「これとかどう?結構日持ちするからいいと思うで。」
「えぇ~っ。あいつにやんのか?」
「一応はお世話になってるやろ?」

今はひい君とお土産を買いに来ている。お土産と言いつつも半分は夜食だけど。

「じゃあ、これ買っとくか。」
「じゃあ私これ~!」
「そっちの方が安いやんけ。」
「そこまで考えてひい君に勧めてたからね。」

 すると、店の奥の方に新宮くんがいるのが見えた。

「おー…何すんだよ、きい。」
「今2人ともいい感じやねんなら。」

そのすぐ近くには音羽がいて、楽しそうに話している。あの2人は順調なんだろうな。

「あいつらはマジックかかった組か。」
「そうだね。」

 私たちは結局クッキーを買って来た道を戻る。でも、少しでも2人に時間を作ってあげたいからまだ売店で過ごすことにした。

「ひい君、これ似合いそう。」
「見たことないやつやな。てか超北海道。」

私が取ったのは、流行語にもなったカーリングチームの言葉が書いてあるアイマスク。アイマスク自体が最近ネタ化してきていて、しかもそのセンスがいい。

「じゃあきいはこれか?『自堕落』。」
「そんなわけない…ことはないかも。」
「そこは自信持てや。」

食べ物じゃない系のお土産コーナーを1周して、10分くらいが経った。

「もう行く?」
「やな。もう終わったぐらいやろ。」

音羽ちゃんと新宮くんのことは私たちには分からない。けど、私にもこの後は戦いが待っているのだ。

 まだどうやって気持ちを伝えようかは考えていない。誰も傷つけたくないし、誰も困らせたくないのは確かだ。そして、まだひい君が好きなのも確か。おそらくこれからもずっと変わらないことだ。

 だけど桜と付き合った今、私はひい君への気持ちに区切りをつけないといけないんだと思う。

 これはきっと、私がひい君への気持ちに嘘をつき続けていた罰だ。私はずっとひい君のことを他の人に照らしてしまうんだと思う。これがひい君だったらって思うんだと思う。

「ねぇ、ひい君。」
「ん?」

結局私が導き出した答え。それは。

「私ね、ずっとひい君のことが好きだった。」

私はこの瞬間、初めてひい君に嘘をついた。
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