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アケボノ

ルスツ⑩

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「おーいお前ら、全員入ったか?」
『ちょっと待ってー』

新しく作ったRINEのグループで通話を始めた。先生たちの点呼が終わった10時半過ぎ。それは俺たちの宴を始める時間だ。

『何戦ぐらいやる?』
「何戦でもええで。」
『じゃあ疲れてるから6戦ぐらいがいいなぁ。そういえばひい君、杏ちゃんへのお土産買った?』
「完全に忘れてたわ。明日買いに行こ。」
『じゃあ一緒に行こ!』
「おう、いいぞ。桜はもう買ったんか?」
『私はもう買ったよ。どっかのバカ兄とは違ってね。』
「よぉーし。今日は‪α‬ねーらお。」

‪α‬というのは桜のこのゲームの中での名前だ。というか、俺がリーダーの同盟を作っている。名前は『MatH』。その名の通り、同盟員であるKYUKA組は数学用語の名前だ。

 桜が‪『‪α‬』。きいが『β』。奏が『∫』で楓が『′』。音羽が『lim』でカレンが『∞』。そして俺が『ζ』だ。

『そんでこの今日新しく入ってきた『⇔』って誰や。『必要十分条件』っておもろい名前やけど。』
『あっ、それ私。船戸でーす!よろしく!』
『花胡ちゃんか。よろしくね!』

船戸さんと楓が入ってきて、あとはカレンと音羽だけになった。

 もうゲームのフレンドバトルは組んでいて、全員ガチパで組んでいる。こっちにも入ってきていないのはその2人だ。

『音羽もうすぐ?もうちょい?OK。』
『みんなおまたせ~。ん?音羽ちゃんまだやん。』
『今歯磨いてる。あっ、帰ってきた。今歯磨いても意味ないって。どーせ今から死ぬほど食うんやし。』
『桜…太んで。な?柚音。』
『さくちゃんってマジで太らんよな。』

桜の部屋でなんか男子は聞いたらダメな会話が始まってしまった。とりあえず右から左に聞き流し、自分に暗示をかける。うん。聞いてない。

『むー。あっそうだ。音羽今入ったから招待して。』
「OK。したで。」
『てんきゅー』

音羽は桜のスマホを通して喋っている。どうやら自分のスマホでやるのがめんどくさかったようだ。

「んじゃ始めるか。みんなチーム選んだな。」
『おう。』
「じゃあ始めるで。」

俺は試合開始のボタンを押す。こうして俺たちの夜が更けていった。
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