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アケボノ

ルスツ③

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『お願いします!』

朝食後、俺たちはゲレンデに集められて、そこで開講式をした。まぁ、特に何もなかったのでそこはパスするとして。

 開講式の後、すぐにスキー講習が始まった。ここにいるほぼ全員が久しぶりなようだ。

「由良やったっけ?奏といっつも仲良くしてる。」
「お前は?」
「白野倫也。よろしくな。」
「よろしく。」

奏に頼まれてからちょくちょく水泳部に顔を出していたが、誰一人として名前を覚えていなかったので分からなかった。白野、白野、白野。よし、覚えた。

 とりあえず、午前中は感覚を思い出すために、このホテルの前のコースをずっと滑るみたいだ。ここは基本的に坂が緩く、コースとしては初心者向け。思い出すのにはちょうどいい。

「んで、白野はいつぶりなん?」

リフトに揺られながら隣の白野と話す。

「俺は小6ぶりやな。由良は?」
「俺も小6。そっからは色々忙しかったし、怪我もあったし。」
「もう滑れるん?」
「今もサポーター付けてるけど、痛くなったら俺はそれでおしまいやな。」

どんどん上に登っていき、山の中腹くらいでリフトを降りた。

「んじゃみんな。好きに滑って。」

イントラの人が先にスーッと滑っていき、途中で止まった。そこまで行けばいいみたいだ。

「先行くか?」
「行くわ。」

何人かが先に行って、その後に俺たちがついて行く。やはり久しぶりなのもあってか、雪との接し方を忘れていて、八の字になっている。でも、曲がれないことはない。

「何人死んだやろ。」

イントラの人のところまで滑って後ろを見てみると、生き残ったのは俺と白野とあと2人だった。

「由良は滑れるんや。」
「由良ってあの由良やんな。有田さんの彼氏の。」
「せやな。由良久志や。よろしく。」
「俺は賀屋和真。そこの白野と同じで中学水泳部入っとった。」
「俺は疋田義晴。賀屋と同じ生物部。」

俺たちは横向きに止まって上で死んでいる3人を見る。

「なぁ、これ午前でどうにかなるかな?」
「さぁ、知らん。」

俺はもう何となく思い出してはきているが、これからあと数時間で滑れるのは本当に数本だけだろう。ここを滑るのもあと1回かそれくらい。次はあっちの少し傾斜がキツくなるところ。

 上の方からはちゃんと滑れる女子陣がシューンと横を通り過ぎていく。これは男子より女子の方が滑れるパターンやな。

「久志、久志は死んでないねんな。」
「桜こそ油断ぶっこくなよ。」

笑いながら通り過ぎていく桜を見送ったら、死んでいた集団が起き上がっていた。

「じゃああの女子たちのところまでレッツゴー!」
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