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アケボノ

ルスツ②

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 次の日の早朝。目が覚めると少し涼しい空気が漂っていた。

「北海道の朝ってこんな感じなんや。」

決められている起床時間は6時半。今は5時すぎ。1時間以上早く起きてしまったようだ。同じ部屋になった村木くんと渡辺くんはまだ寝ていて、部屋の中はしんと静まり返っている。

 俺は最近ハマっているバンドの曲を聴きながら、ネット小説を探す。まぁ、テスト期間とか何とかでまだ読めていないやつが沢山あるのでそれだ。自分のスマホにセットしていた目覚ましは解除。これを使うのはまた明日以降になりそうだ。

 何十話か読み進めたところで目覚ましが鳴る音がした。

「んん」
「くはぁ~!」

2人ともベッドの上で大きく背伸びして起き上がる。

「おはよー。」
「早ぇな。何時起き?」
「5時過ぎ。」
「それは早すぎやわ。」

カーテンを開けて電気をつけ、コーヒーを1杯淹れる。これがあって初めて朝が始まるのだ。

「マジで由良ナイス。」
「使えるなぁ。」

こうやってホットのドリンクを持ってきているやつはうちのクラスでは俺だけらしく、その話をしたら朝イチにうちの部屋に集まるみたいなことを言っていた。

 結局いつまで経っても来ないが。

 班長である村木くんが、全員の検温シートを持って本部に行く。その間に寝癖だけ直して体操服に着替える。ホテルの中は体操服とか言う謎ルールがあるからだ。他のお客さんは普通の服なのに俺たちだけが緑のジャージなんて少し出歩くのが恥ずかしく感じる。

「朝飯何時からやったっけ?」
「7時半やろ。もう腹減って死にそうやねんけど。」

渡辺くんはさっさと体操服に着替えて、ベッドの上でスマホを触る。渡辺くんはうちの学年でもそこそこ人気のある配信者の1人で、こうやって配信用の素材をつくったりするようだ。

―ピンポーン

俺も着替えてぐうたら過ごしていると、部屋のインターホンが鳴った。おそらく村木くんだろう。

「渡辺くん、よろしく。」
「悪ぃ、今手離せそうにない。」
「え~、マジか~。」

―ピンポンピンポンピンポンピンポン

「分かったって。」

どんどんインターホンのリズムが早くなっていくから、小走りでドアを開ける。

「おかえり~。」
「はよ開けてや。この廊下微妙に寒いねん。」

村木くんは部屋に入るなり、自分のベッドにダイブする。そして靴を脱いでスマホを触り始めた。

「なんか飲む?」
「マキアート淹れて。」
「あ、俺はコーヒーな。クリームとかもよろしく。」

俺はそう頼まれて紙コップを出し、淹れる。7時半まではこんな感じでぐうたらしておこう。
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