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アケボノ

チョコレイトプロジェクト⑤

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「お疲れ様した~。」
「お疲れ様でした~。」

今日は午前中は練習。それも中学生と合同だ。人数が減ってからよくある。

「私たちにもあんな頃あったね。」
「あの若さが恋しい…」
「そこまで歳変わらへんやろ。」
「あの水分量が反則やねん!俺なんかこんな感じでガッサガサやし。」
「そーかな?」

奏の頬に触れると、奏は少しだけ嫌そうな顔をする。そういや、あんまり好きやなかったな。

「すまんすまん。たしかにガッサガサや。」
「これでも頑張ってんのに。それに比べて楓は…」
「私とは頑張り具合か違うから。すごいやろ。私の頬っぺた。」

 電車に乗っていつものように一駅。傾いたホームに降りる。

「今日は私ん家来て。」
「うい。直?」
「どっちでも。」
「じゃあ着替えてから。」

家まで歩くのはなかなかな重労働になる。何せここは坂が多い。いくつも坂があって、それぞれがきついのだ。だから私たちは裏道を使って比較的に楽な方を歩く。

「この道歩くのもあと1年か。」
「大学でこの街を出ていくならそうなるな。」
「出ていくやろ。やって遠いもん。」

高校を卒業したら大学。順調にエスカレーターに乗って上がるなら、大学は京都市内になる。家から京都市内まではほぼ1時間かかるからさすがに遠すぎる。

「なら、クラブ辞めたらバイトやな。」
「その前に内部入試ちゃんと受からないと。」
「それは俺よりヤバそうな楓が言うことちゃうで。」

 家に着いたので着替えてから奏が来るのを静かに待つ。スマホのインカメを使って自分の髪型が変やないか何回も確認して、息を整える。ガチャっと音がして、奏が入ってきたのが分かった。

「来たぞ~。」
「結構待ってんからな。てか、奏そこそこ気合い入ってるな。」
「それなら楓こそ。ほぼ外行きの服やん。」

お互いの服装を見て笑う。今から2人でどこか行くかと思うような服装だ。

「でも、行かんやろ?」
「無理。疲れたぁ。」

服にシワが入ることなんか気にせずに、奏はソファーに寝転ぶ。私はそんな奏の隣に座って、顔を覗く。

「そんな無防備になってたら食っちゃうぞォ!」
「今年は欧米式か?ここは日本や。」
「ちくしょ。お互いにその気やったみたいやな。」
「男子更衣室はそれで騒いどったからな。」

私はソファーの裏に隠していた小さな紙袋を出す。

「はい、これね。コーヒー淹れて欲しかったら淹れるから。」
「ってことは今年は甘いめ?」
「それは自分の目で確認してみんしゃい!」

奏は袋を開けて納得したような顔をする。

「コーヒー淹れて。」
「ラジャー!」
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