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アケボノ

チョコレイトプロジェクト③

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「焼けた。」
「焼けたね。」
「どっちが出す?」

結局45分間、焼けていくブラウニーを見ていた。きいと一緒に。途中からチョコレートの焼けた匂いが漏れ出してきて、完全に飯テロ状態になったが、余っていたチョコレートをつまむことで何とか相殺。とりあえず生き長らえた感じだ。

「絶対開けたときチョコ!やん。」
「チョコ!って何やねん。チョコ!って。」

2人でオーブンの前で揉めていると、もうラッピングまで終わらせた楓がオーブンを開けた。チョコレートのいい匂いが溢れだしてくる。甘そうで甘すぎない、苦そうで苦すぎない。そんな匂い。

「「チョコ!」」
「あんたたち何やってるん。早くラッピングして、あっ、シュガーかけたかったらこれ使って。」
「「はーい!」」

楓は必要なものだけ置いて、リビングでくつろいでいる音羽のところに行く。

「じゃああとはちょっとやるだけやから。」
「うす!たいちょー!」

焼きあがったブラウニーにグラニュー糖をかけて、袋に詰めていく。私からちゃんと渡すのって本当に数人しかいないから楽だ。毎年毎年ばらまいてる人は本当にすごい。なんであんな量を作り切れるのか。ちょっと教えて欲しいくらいだ。

「桜、1個足りひんけど。」
「それは残ってるこれで今から作んのよ。」

実は私はチョコレートを少し残していた。これでラム入りチョコブラウニーを作るのだ。

「ひい君お酒いけるん?」
「この前それとなく聞いてみたらいけるっぽい。何なら強そう。」
「何となくその感じ分かるわ。」

気づいたら楓と音羽も私の前に立っていて、ニヤニヤしている。

「何する気?」
「いーや、ただ愛情たっぷりのチョコブラウニーが作られるところを見たいだけやで。な?音羽。」
「おうよ!」

この2人は絶対にからかっている。

「2人ともあとで試食お願いね。これは作ったことないから。」
「「げっ。」」
「何を、そんないっぱい食べさせる訳やない。ちょっとだけや。ちょっとだけ。」

思い出されるのはあの日の記憶。みんなでウイスキーボンボンを食べて、酔っ払った記憶だ。

「…ごめんなさい。」
「反省します。」
「ならよし。」
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