陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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アケボノ

どこ行く?②

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「なぁ、音羽ちゃん、小樽どこ行くん?」

またいつものように私の家。こいつは本当に料理ができるようになりたいのかって話になるけど、私としても2人でいられる時間ができるからそれでいい。

「私たちはQの班と回る気やけど。なんだって桜がおるんやから。」
「なるへ。じゃあ音羽ちゃん。一緒に回ろや。」

よく考えたら私たちの班って行き先が決まってないから予算が分からへんねんな。何円ぐらい持ってこっかな?あとでQにどこ行くか聞いてみよ。財布は手荷物で持っていく気やからそれで問題ない…

「は?」

こいつ、いまなんて言った?一緒に回ろ?私たち別クラスやろ?たしかD組とH組は帰りの時間がちが…あっ、一緒や。

「だから、一緒に回ろや。小樽。」
「いやいや、私に抜け出せって言う気?」
「せやで。」

さも当然かのようにカレンは言う。私は驚きのあまり、焼いていたブリの照り焼きを焦がしかけた。

「残念ながら、D組に友達がいないもので、陽キャどもの班に突っ込まれたんよ。人数合わせで。」
「あらそれは可哀想に。」

私は出来上がったブリの照り焼きを皿に盛り付けて、カレンがテーブルに並べる。ほうれん草のごま和えとご飯、そして味噌汁を並べて、最後に箸を置いた。

「「いただきます!」」
「やから班にいたくないねんな。なんか独自のノリで生きてるから、何言ってるか分からんし。」

ぶつぶつ言っているカレンを横目に、味噌汁を飲む。今日もいい味噌の加減だ。

「うまっ。今日も美味いな。」
「それはよかった。それで?小樽を私と回りたいと。」
「そゆこと。」

カレンは「分かってるぅ」と指を鳴らす。

 桜がQとイチャイチャするから私と柚ちゃん、I組のQの班でゆったりと回るつもりだった。でも、私が居なくなったら柚ちゃんだけがH組になる。H組とI組はそもそも科目が違うため、授業のネタになったら柚ちゃんは孤独だ。

「それならうちの班に入ったら?別にいいと思うで。」
「それはいい。2人がいいから。」

カレンはきっぱりと断る。そこまでしてなんのメリットがあるのだろう。私なんかと回ったとてって感じなのに。

「回ってくれるか?」

柚ちゃんたちと回るのは絶対楽しい。けど、カレンと回るのも絶対楽しい。カレンはもともと料理を教えるだけの存在だった。けど、私の中ではたしかに大きくなってきている。

「いいよ。」

もう覚悟を決めるしかないか。
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