陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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アケボノ

買い出し③

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「持ってきたで。はいこれ。」

試着室の中で待っていると両手に服を抱えた桜がやってきた。基本的に全部暗めの色で統一されている。どうやら俺の要望通り持ってきてくれたようだ。

「本命、対抗、大穴。どれからいきたい?」
「じゃ、大穴で。」

大穴だと言われて桜が出してきたのはネイビーのトレーナー。シンプルなデザインで、胸のところになんか英語が書いている。苦手やから意味は分からんけど。

 着てみると、それが大穴である理由がすぐにわかった。デザインはいいけど、裏がタオル地になっていて少し涼しい。暖房がしっかり入っている店内でこんな感じだから、リフトに乗ってる間は寒く感じるだろう。

「デザインはいいんやけどね~。裏地がやろ?」
「そそ。これ裏起毛だったらって思う。」

桜は無断でカーテンを開き、俺の姿を見て「おお。やっぱりこの色の方が似合ってる。」と言った。

 俺はトレーナーを脱ぎ、ハンガーにかけて元の状態にして、桜に渡した。

「次は…対抗お願い。」
「ちょいまち…へいお待ち!」

カーテンの隙間から渡されたのは黒いトレーナー。今度はしっかりと裏起毛のやつだ。デザインも小さめで目立たない。

 今度は来てみて不思議に思った。着心地も悪くないし、何より軽くて暖かい。それなのになんでこれが対抗なんだろうって。

「とりあえずこれが一番かな?てか、なんでこれが対抗なん?」
「それは、これが本命やからです!」

バサッとカーテンを開けた桜が持っていたのは、白のハイネックのトレーナー。胸のところには黒いロゴがどーん!ってなっていて、背中にはカラフルなロゴのデザインが描かれていた。

「絶対俺が選ばんやつやん。」
「やから本命やねん。1回は見てみたいやん。」

って言われても正直着たくない。似合わんの分かってるし。けど、なんか期待してるし。

「わかったよ。着るから。」
「やったー!」

って桜は試着室の前で喜ぶ。少し恥ずかしいんだが、今はとりあえずこれを着てみよう。

 今着ている黒のトレーナーを脱いで、桜の持ってきた白のトレーナーを着る。暖かいけど…似合ってないな。鏡を見てもなんか違う感じがするし、腕が白いのがなんか落ち着かない。

「とりあえず着てみたけど、似合ってないぞ。」

そうやって声をかけると、シャッとカーテンが開けられた。

「ははっ、似合ってない!」
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