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アケボノ
おかえり会⑦
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「とりあえずこんなもんかな?」
私はできた音源をmp3ファイルに変更して、保存する。
「出来たけど、聞く?」
「イヤホンなしで作業してたからある程度分かってるよ。でも聞きたい。」
花胡ちゃんに聞くと、笑いながらそうやって言われた。普段はイヤホンをつけながらだけど、今日はこっちでやってみたかったのだ。
「じゃあ流すね。」
詞先の曲の作曲って、解釈の差なんだと思う。もちろん花胡ちゃんが導き出したのも正解だ。その正解が80点の正解なのか、90点の正解なのか、それが曲の差になってくるのだと思う。
だからこれが、私なりの正解の音だ。
「久志はなんで泣いてるの?」
キッチンの方を見れば、久志が涙を流していた。
「桜の音が帰ってきて、桜が帰ってきたんやなぁって嬉しくなって。」
「ずっと一緒におるのに?」
「なんやろ。変やな。」
久志はそのまま笑って誤魔化す。そんな久志につられてか、楓ときいも涙を浮かべていた。
「桜の音が戻ってきた。」
「やっぱり桜の音が1番ハマってるわ。ひい君の詞には。」
「何それ。」
私の音が久志の歌詞にハマっていることは知っている。けど、私の音が1番だなんて。
「やっぱり愛の力かね~。」
「愛!?いや、そんなのただの偶然やって!」
音羽が急に変なこと言い出すから、めっちゃ恥ずい。愛の力なんてそんなのでいい曲が作れる…いや、有り得るか。あのベテランもやってるし。久志も「好きな人に向けて書いたら」ってゆーちゃんに言ってたし。
「これは、私の負けやね。ちょっと自信あったけど、こんな音紡がれたら無理やわ。」
花胡ちゃんもあっさりと両手を挙げている。この曲のなにがスゴいんだろう?いつも通り作っただけやのに。
私はもう一度フルで流して聞いてみる。いつも通り過ぎて違和感がないのだ。ドラムを削って、キーボードをピアノにして、音数を減らしただけなのに。
とりあえず作業を終わらしたので、時計を見てみる。9時半を回っていた。
「みんな、帰りの時間大丈夫?補導されんようにな。」
「やばいねぇ。」
「桜の曲が良すぎたのが悪かった。」
こうして私のおかえり会はお開きになった。
私はできた音源をmp3ファイルに変更して、保存する。
「出来たけど、聞く?」
「イヤホンなしで作業してたからある程度分かってるよ。でも聞きたい。」
花胡ちゃんに聞くと、笑いながらそうやって言われた。普段はイヤホンをつけながらだけど、今日はこっちでやってみたかったのだ。
「じゃあ流すね。」
詞先の曲の作曲って、解釈の差なんだと思う。もちろん花胡ちゃんが導き出したのも正解だ。その正解が80点の正解なのか、90点の正解なのか、それが曲の差になってくるのだと思う。
だからこれが、私なりの正解の音だ。
「久志はなんで泣いてるの?」
キッチンの方を見れば、久志が涙を流していた。
「桜の音が帰ってきて、桜が帰ってきたんやなぁって嬉しくなって。」
「ずっと一緒におるのに?」
「なんやろ。変やな。」
久志はそのまま笑って誤魔化す。そんな久志につられてか、楓ときいも涙を浮かべていた。
「桜の音が戻ってきた。」
「やっぱり桜の音が1番ハマってるわ。ひい君の詞には。」
「何それ。」
私の音が久志の歌詞にハマっていることは知っている。けど、私の音が1番だなんて。
「やっぱり愛の力かね~。」
「愛!?いや、そんなのただの偶然やって!」
音羽が急に変なこと言い出すから、めっちゃ恥ずい。愛の力なんてそんなのでいい曲が作れる…いや、有り得るか。あのベテランもやってるし。久志も「好きな人に向けて書いたら」ってゆーちゃんに言ってたし。
「これは、私の負けやね。ちょっと自信あったけど、こんな音紡がれたら無理やわ。」
花胡ちゃんもあっさりと両手を挙げている。この曲のなにがスゴいんだろう?いつも通り作っただけやのに。
私はもう一度フルで流して聞いてみる。いつも通り過ぎて違和感がないのだ。ドラムを削って、キーボードをピアノにして、音数を減らしただけなのに。
とりあえず作業を終わらしたので、時計を見てみる。9時半を回っていた。
「みんな、帰りの時間大丈夫?補導されんようにな。」
「やばいねぇ。」
「桜の曲が良すぎたのが悪かった。」
こうして私のおかえり会はお開きになった。
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