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アケボノ

おかえり会⑤

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 食事も少しずつペースが落ち着いてきた。私も顔の熱が少しずつ冷めてきたところで、2階に上がる。

「花胡ちゃん、なんだっけ?私が作ってほしいとか。」
「そそ。ちょっと聴きたいし。」

私は花胡ちゃんに頼まれていた、年末のあの曲のリメイクに取り掛かろうとした。いつも使っていたタブレットの電源を入れようとすると、充電が必要ってマークが出てくる。

「まぁそうだよね。」

私は近くのコンセントに充電器をさして、ある程度溜まるまで放置することにした。

 そんな流れを見ていたのか、食いすぎで倒れかけていた楓とくるみちゃん、きい、そしてゆーちゃんが起きる。

「桜、曲作るの?」
「作業風景つき?」
「私聴きたい!」
「さくちゃんの曲か。最近聴いてなかったな。作詞家くん、さくちゃんが曲リメイクするやって!」

みんな、さっきまでのローテンションは嘘みたいに騒ぎ始める。時間も7時半。外はもう真っ暗だというのに帰る気はさらさら無い様子だ。

 結局作った分は全部食べきって、今は奏が近くのコンビニにデザートを買いに、久志が食器の後片付けをしている。テーブルの上にはジュースの残骸とまだ少しだけ残っているグラスだけが残っていて、パーティーももうすぐ終わりみたいな感じになっている。

「これがずっと続いてくれたらいいのに。」

私は少しだけセンチな気持ちになった。明日からはまた学校がある。けど、3学期には修学旅行が待っている。そして受験期間には休みがあったりと、そこまで学校に行くことがない。クラスに…いや、文IIはクラス替えがないんだった。

「どした?さくちゃん、また自虐ネタか?」
「ううん。何でもない。」

来年になったら音楽の授業はない。だからもう一曲くらい作りたかった。

 そんなことを考えていたら奏が帰ってきた。寒かったのか、鼻先が少し赤い。

「スイーツ頼まれてた分買ってきたぞ。ってかめちゃくちゃ高いやん。後で払えよ。」
『はーい。』

奏はテーブルの上にスイーツが入ったレジ袋を置いて、楓に抱きついた。

「ちょ!何してんの?」
「人の温もりはええなぁ。あったか~」
「こっちはめちゃくちゃ寒いんやけど!」

2人の仲睦まじいやり取りに思わず頬が緩む。付き合いの長い2人だからできる空気って、本当にいい。私も久志ときっと…

 いや、私たちって同棲してるし、めちゃくちゃ進んでるやん。私は1人で考えて1人で悶えそうになる。

「桜、なにしてんの?」
「んーん、私の問題やからお構いなくイチャイチャしといて。」
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