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アケボノ
おかえり会③
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テレビの前で固まっているみんなを見ていると、柚音ちゃんに声をかけられた。
「戻ってきたね。」
「うん。やっぱりこれがいい。Qもなんか楽しそうやし、奏もいつもみたいに笑えてる。」
「音羽もそうやな。桜が帰ってきて変わった。」
今回のことでよく分かった。何気ない日常は簡単に壊れてしまうのだ。どれだけ繋がっていたくても、片方にその気がなくなれば、いつかはおわってしまう。そういうのが友情なんだって気づいた。
「素直に祝える?Qと桜のこと。」
「なんでそう思ったん?」
「何となく雰囲気がそんな感じやったから。」
柚音ちゃんのことは少し前から気づいている。あんまり他の男子と仲良く喋っていないのもそうだけど、それよりも目がそうだ。
「そうよね。気づかん作詞家くんにビビってた。好きだよ。たぶん今でも。でも、さくちゃんから奪うとか、そんなのは考えてないよ。それはさくちゃんが悲しむから。」
諦めたような悲しい目。しかしどこか吹っ切れたようにも見て取れる。
「まあ柚音ちゃんがそれでいいならいいよ。Qなら素直に返してくれると思うから心配もしてないし。」
「そうやね。でも、何かあったら相談する。」
みんなが遊んでいる間にほとんど用意が終わって、あとは盛り付けだけになった。
「みんな~、そろそろ出来るから最後の試合な~!」
『はーい!』
「そんなもんに気取られとったらあかんぞ、杏。よぉぉぉし!」
杏ちゃんがこっちに気を取られている間にQが致命傷を与えたようで、杏ちゃんが唸っている。その横の久志はガッツポーズを決めている。兄の優しさも欠片もない。でも、この家はこんな感じなんだろうなと感じた。
「手伝うよ。」
「私も私も。」
試合の結果を見て満足したのか、音羽と花胡ちゃんがのそのそとやってくる。2人ともゲームで暑くなったのか、リボンを取っていた。
「2人とも何の話してたん?」
音羽はゲーム中もたまにこっちの様子を見ていたので、私たちが喋っていることを知っている。でも隣(主に奏)が煩かったので聞こえなかったみたいだ。
「由良家って仲良いねって話。」
「「分かる。」」
もちろん桜も含めての話だ。こんなの本人に言ったら真っ赤になるんだろうが。
「戻ってきたね。」
「うん。やっぱりこれがいい。Qもなんか楽しそうやし、奏もいつもみたいに笑えてる。」
「音羽もそうやな。桜が帰ってきて変わった。」
今回のことでよく分かった。何気ない日常は簡単に壊れてしまうのだ。どれだけ繋がっていたくても、片方にその気がなくなれば、いつかはおわってしまう。そういうのが友情なんだって気づいた。
「素直に祝える?Qと桜のこと。」
「なんでそう思ったん?」
「何となく雰囲気がそんな感じやったから。」
柚音ちゃんのことは少し前から気づいている。あんまり他の男子と仲良く喋っていないのもそうだけど、それよりも目がそうだ。
「そうよね。気づかん作詞家くんにビビってた。好きだよ。たぶん今でも。でも、さくちゃんから奪うとか、そんなのは考えてないよ。それはさくちゃんが悲しむから。」
諦めたような悲しい目。しかしどこか吹っ切れたようにも見て取れる。
「まあ柚音ちゃんがそれでいいならいいよ。Qなら素直に返してくれると思うから心配もしてないし。」
「そうやね。でも、何かあったら相談する。」
みんなが遊んでいる間にほとんど用意が終わって、あとは盛り付けだけになった。
「みんな~、そろそろ出来るから最後の試合な~!」
『はーい!』
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もちろん桜も含めての話だ。こんなの本人に言ったら真っ赤になるんだろうが。
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