陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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アケボノ

居場所②

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 教室に入るのが怖い。どんな目で見られるのだろう。全く予想がつかない。

「一緒に来て欲しかったなぁ。」

久志はもう自分のクラスに行ってしまった。まだ終わってない課題があるとか。あの量を見たら納得だけど、それでも最初くらいは一緒に入って欲しかった…なんて言えない。いつまでも頼りっきりじゃあ居られない。

 階段を上がってくるまで手を繋いでいた温もりがまだ残っている。やっぱり少し注目されたようで、久志も珍しく恥ずかしそうにしていた。私は少し嬉しかった。久志とまた学校に来れていることが。

「桜、入らんの?」
「ちょっと怖いんよ。」

音羽はドアの前で立ちすくむ私の隣に居てくれる。ドアの前で誰かと喋っているように見せてくれているのだ。

「私もそんな時期あったから。教室入るのが怖い時期。」
「ほんまに?」
「ほんまほんま。小学校の頃は私結構そんな感じやったで。でも、歓迎していない人の人数を数えるんやなくて、歓迎してくれる人の人数数えてん。そしたら、なんかどうでも良くなった。ねぇ、桜、あんたを待ってるのは誰?」

単純な質問だ。音羽は優しく私に微笑みかける。私はポケットに突っ込んでいた手を出した。

「久志、きい、楓、奏、音羽、新宮くん、花胡ちゃん、くるみちゃん、ゆーちゃん…」
「なんだ。いっぱいおるやん。」

音羽は私の手を掴んだ。ドアを開けて私を引っ張る。

「まだ心の準備が…」
「いらんって。まだまだおるから。」

教室に入ると、それは信じがたい光景だった。

 黒板に大きく書かれた『おかえり』の文字。ドアの前に並んだみんな。そういえば、私が来てからもこの教室には誰も入っていかなかった。

『おかえり!桜!』

パンパンとクラッカーの音が聞こえる。夢みたいな光景だ。

「なんで…私に…そこまで…する?」
「なんでって、馬鹿ねさくちゃん。友達やろ?」
「こんな私が?」
「うん。さくちゃんがいて、全員揃って2-Hやから。」

周りを見ると、私を嫌な目で見ているのは誰もいない。

「ただいま、みんな!」

私の居場所はここにもある。
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