陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ミカヅキ

救済措置③

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 やっぱり怖い。この中で一番音楽に触れてきていないのは私。そんな私が作った曲なんか、まだ薄っぺらいに決まっている。

 私はファイルから『answer.mp3』というファイルを選択する。そしてそれを送った。

「送っちゃった~!」

ベッドの上で足をパタパタさせる。ママに怒られるかもしれないけど、こればかりは仕方ない。みんなはこんなことをよくさっさとできるな。

 このファイルに入っている音源は完成したもの。日置くんが作ったメロディーをさらに良くして、日置くんがあれから2日後に送ってきた音源だ。時間は夜の3時半で私は寝ていたけど。その次の日の日置くんは凄かった。目の下のクマが真っ黒で、体調も悪そうだった。でも、曲の感想を言ったら笑って「よかった」って。

 試しにもう1回私も聴いてみようと思って、送ったファイルを開いた。

 初めて聴いたときはピアノ伴奏だけだったけど、次に送られてきたのはオケも入って、さらに音も分厚くなっている。この音源で歌っているのは日置くんで、私が送った音源よりも抑揚をつけて歌ってくれている。

 初めて聴いた時の感動と同じ思いを2回も抱くなんて。やっぱり私はこの音が好きみたいだ。

 音に酔いしれていると、ちょうど曲が終わった。私はトーク画面に戻って、メッセージを打ち込む。

きい:『どうやった?』
Q:『作曲誰?』

ひい君が1番最初に反応してくれる。そうだよね。作曲したのが誰がやっぱり1番気になるよね。

 日置くんはこのグループに入るか聴いた時、さすがにやめとくって言ってた。桜のことをあまり知らない俺にはそんな資格無いからって。でも、この声を教えてあげたいな。

 友だちのところから『幸雅』という名前を探して、グループに招待する。するとすぐに個人のトークにメッセージが入った。

幸雅:『別にしなくていいって言ったよね?』
きい:『いいから入って』

もしかしたら、ちょっと怒ってるかもしれない。けど、どうしてもこの声を聞いてほしいの。

 日置くんはグループに入って『answerの作曲です』と挨拶した。

Q:『君、天才』
Kaede:『オケ痺れたぁ』
ユズ:『普通にヤバいんやけど』
Sou:『鳥肌やば』
Oto:『何なら桜より上手いんちゃう?』
Q:『そうかも』

すると賞賛の嵐。私たちの中で一番うまかったのは桜で、それでもオケは使いこなせていなかったから、日置くんはそれ以上と言える。

 私は日置くんとの個人トークに戻った。

きい:『ほらね』

画面の奥で嬉しそうにしている日置くんの顔が見えた。
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