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ミカヅキ
冷たいベッド②
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「出来たで。」
次の日の放課後、俺は船戸さんと戸津井さんに声をかけた。放課後まで怖気付いていたのだ。
「思ったより早かった。年内に出来上がればいいぐらいで考えてたから。」
「そんなけ仕事遅いわけないやろ。」
少なくともクリスマスには間に合わせるつもりだったから、嘘は言っていない。
「で、どんなんに仕上がったん?」
「こんなん。」
ここまできたらもう引けない。俺は歌詞を書き写したルーズリーフを渡す。あの1枚は渡す訳にはいかないから。
「おぉ!」
「おぉ~!」
2人ともいい反応をする。この曲のイメージは完全に夜だ。俺自身、こういう曲の方が好きだが、だからと言って書ける訳では無い。実際、夜のイメージを直接的に書いたのは初めてやし。
「一応聞いとくけど、これってマジ?」
「……黙秘権を行使します。」
「マジか…ってことは2人って…?」
「いや、そんなんちゃうで。」
戸津井さんはちぇーみたいな顔をする。そんな出会って1日目にする訳ないだろ。陰キャ舐めんな。
「私からも一応聞いていい?」
「ん?」
「どこまで聞いていいの?」
「……他質問ないか?」
「ちょっと、私の質問に答えてよ!」
少し子供っぽくなった船戸さんが面白い。
「お前ら~、閉めんぞ~!」
「ごめんごめん!」
「今出まーす!」
今日の日直に急かされて、教室を後にする。が、もう少し話し足りないような気がする。それは2人も一緒のようで、目が合った。
「どっか行くか?」
結局こういうのはあのファミレスに限る。ちょうど冬休みも近いし、2人は使うお金を減らしたいだろうから。
「で、曲のイメージってまんま?」
「まんま。そんな感じの音にして欲しい。」
本当にこの曲は『まんま』って感じだ。こんな安直な歌詞で問題ないのかってなるけど、俺の頭の中では全て出来上がっている。だから本当は桜に書いて欲しかったけど、桜なら伝わると思う。あとは届く曲になるかって問題だ。
「有田さんって今何してんだろ?」
「さぁな。連絡も最近はないし。元々自分のことあんまり話す感じではなかったから。」
「そうなん?普段の教室での話し方見てたらそんな感じはしなかったけど。」
「あれは…そういう仮面だ。」
『俺たちが勝手に被せてる』って知ってるけど言わない。
そんな何かを飲み込んだことに船戸さんは気づいているだろう。もしかしたら戸津井さんも。でも、2人とも何も言わない。
この2人ともいずれ全てを分かち合えたら、どれほど楽なのだろう。でも、今はこれくらいの距離感が心地いい。
次の日の放課後、俺は船戸さんと戸津井さんに声をかけた。放課後まで怖気付いていたのだ。
「思ったより早かった。年内に出来上がればいいぐらいで考えてたから。」
「そんなけ仕事遅いわけないやろ。」
少なくともクリスマスには間に合わせるつもりだったから、嘘は言っていない。
「で、どんなんに仕上がったん?」
「こんなん。」
ここまできたらもう引けない。俺は歌詞を書き写したルーズリーフを渡す。あの1枚は渡す訳にはいかないから。
「おぉ!」
「おぉ~!」
2人ともいい反応をする。この曲のイメージは完全に夜だ。俺自身、こういう曲の方が好きだが、だからと言って書ける訳では無い。実際、夜のイメージを直接的に書いたのは初めてやし。
「一応聞いとくけど、これってマジ?」
「……黙秘権を行使します。」
「マジか…ってことは2人って…?」
「いや、そんなんちゃうで。」
戸津井さんはちぇーみたいな顔をする。そんな出会って1日目にする訳ないだろ。陰キャ舐めんな。
「私からも一応聞いていい?」
「ん?」
「どこまで聞いていいの?」
「……他質問ないか?」
「ちょっと、私の質問に答えてよ!」
少し子供っぽくなった船戸さんが面白い。
「お前ら~、閉めんぞ~!」
「ごめんごめん!」
「今出まーす!」
今日の日直に急かされて、教室を後にする。が、もう少し話し足りないような気がする。それは2人も一緒のようで、目が合った。
「どっか行くか?」
結局こういうのはあのファミレスに限る。ちょうど冬休みも近いし、2人は使うお金を減らしたいだろうから。
「で、曲のイメージってまんま?」
「まんま。そんな感じの音にして欲しい。」
本当にこの曲は『まんま』って感じだ。こんな安直な歌詞で問題ないのかってなるけど、俺の頭の中では全て出来上がっている。だから本当は桜に書いて欲しかったけど、桜なら伝わると思う。あとは届く曲になるかって問題だ。
「有田さんって今何してんだろ?」
「さぁな。連絡も最近はないし。元々自分のことあんまり話す感じではなかったから。」
「そうなん?普段の教室での話し方見てたらそんな感じはしなかったけど。」
「あれは…そういう仮面だ。」
『俺たちが勝手に被せてる』って知ってるけど言わない。
そんな何かを飲み込んだことに船戸さんは気づいているだろう。もしかしたら戸津井さんも。でも、2人とも何も言わない。
この2人ともいずれ全てを分かち合えたら、どれほど楽なのだろう。でも、今はこれくらいの距離感が心地いい。
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