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ミカヅキ
シネラリア②
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「船戸さん、これ。」
次の日、俺は書き上がった歌詞を船戸さんに渡す。ノート丸ごと2冊分。桜との思い出全てだ。
「書き上がったん?どれ?」
「2冊目の、1番最後のやつ。もしかしたらもう一曲頼むかも。」
船戸さんは歌詞を見るなり黙ってしまった。まぁそうだよな。俺自身もびっくりしてる。こんな歌詞を書けるなんて。
不安な気持ちで船戸さんの反応を伺っていると、横から顔を出す女子が1人。戸津井さんだ。
「由良くん、書けたん?」
「書けたで。」
「やったー!私も見せて!」
子供みたいに喜んで、船戸さんの横から覗き込む。
「私、やっぱり、由良くんの歌詞が1番好きやわ。」
「私も。」
ついでとも言わんばかりに、他のページもめくりながらそう言う。少し恥ずかしいがそうやって言ってくれることで救われたような感じがした。
「私、この曲なら書けそう。」
それでも1番最近に書いた『シネラリア』を開いて、船戸さんはそう言う。
「きっと、有田さんほどのではないけど、それくらいのものになる。してみせる。だから、この曲は私に書かせて。」
「なら、頼む。お願いします。桜に届く歌にしてください。」
船戸さんはそのページの写真を撮った。
「そういえば、もう一曲頼むかもしれないってどういうこと?」
「それな。えっと、どのページやっけ?」
俺は1冊目のノートをペラペラと見返す。
「あった。」
あの晩に書いた、全てが変わった晩に書いた、約束の曲。この曲がなければ俺たちの心は繋がっていなかっただろう。この曲がなければこんなに青く染まってなかっただろう。
その曲は真ん中だけ空いている。1度くしゃくしゃにしたから、しっかりとは伸びていない。けれど、俺の字と桜の字がそこにはある。
「この曲だ。」
次の日、俺は書き上がった歌詞を船戸さんに渡す。ノート丸ごと2冊分。桜との思い出全てだ。
「書き上がったん?どれ?」
「2冊目の、1番最後のやつ。もしかしたらもう一曲頼むかも。」
船戸さんは歌詞を見るなり黙ってしまった。まぁそうだよな。俺自身もびっくりしてる。こんな歌詞を書けるなんて。
不安な気持ちで船戸さんの反応を伺っていると、横から顔を出す女子が1人。戸津井さんだ。
「由良くん、書けたん?」
「書けたで。」
「やったー!私も見せて!」
子供みたいに喜んで、船戸さんの横から覗き込む。
「私、やっぱり、由良くんの歌詞が1番好きやわ。」
「私も。」
ついでとも言わんばかりに、他のページもめくりながらそう言う。少し恥ずかしいがそうやって言ってくれることで救われたような感じがした。
「私、この曲なら書けそう。」
それでも1番最近に書いた『シネラリア』を開いて、船戸さんはそう言う。
「きっと、有田さんほどのではないけど、それくらいのものになる。してみせる。だから、この曲は私に書かせて。」
「なら、頼む。お願いします。桜に届く歌にしてください。」
船戸さんはそのページの写真を撮った。
「そういえば、もう一曲頼むかもしれないってどういうこと?」
「それな。えっと、どのページやっけ?」
俺は1冊目のノートをペラペラと見返す。
「あった。」
あの晩に書いた、全てが変わった晩に書いた、約束の曲。この曲がなければ俺たちの心は繋がっていなかっただろう。この曲がなければこんなに青く染まってなかっただろう。
その曲は真ん中だけ空いている。1度くしゃくしゃにしたから、しっかりとは伸びていない。けれど、俺の字と桜の字がそこにはある。
「この曲だ。」
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