陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

ミカヅキ

answer③

『で、曲のイメージは？』

帰ってからスマホを開けば、日置くんからそんなRINEが来ていた。そもそも友達の登録もしてなかったから、このためだけに登録してくれたんだろう。

　曲のイメージって言われても、そんなの言葉に出来ない。感覚で書いたし、知らない間に書けていた。書いている間の記憶はなくて、頭の中に残っているのはメロディーだけ。伴奏は全く浮かんていない。

　私はとりあえず、頭の中のメロディーを送ってみることにした。スマホのボイスレコーダーアプリを起動させて、そこに吹き込んでいく。それを送った。

『ごめん！上手く言葉に出来ないからとりあえず書いている間に流れてたメロディー送る！』

そんな言い訳と一緒にMP3ファイルを送る。言葉で表せないような歌ってどうなんだろう。呆れられたかな？

『やっぱり由良くんの近くにいるだけはあるね。』

日置くんはそんなメッセージを送ってきた。どういう意味なんだろう。ひい君みたいな作り方をしているからかな？

『？』

とりあえずこうやって送ってみる。返事はすぐに返ってきた。

『由良くんの歌って自然と入ってくるから。たまたま廊下で聞いたことがあってね。歌だけで伴奏がいくつも浮かんでくるような歌やったから覚えてるねん。そんな感じのことを橋本さんの歌声から感じたから。』

ひい君の歌ってそうなんだ。今まであんまり気にしてこなかったから初めて知った。

『とりあえず何パターンか作るから、出来上がったらどれがいいか聞いて。』
『よろしくお願いします！』

　これで日置くんとの打ち合わせもある程度完了…よね？こうやって曲を作ったことがないからあんまり分かんない。

　ベッドに倒れ込む。気付けばかれこれ1時間くらい打ち合わせをしていたみたいだ。あんまり経験したことのない疲れが押し寄せてくる。でも、心地よい疲れ。

「ひい君に似てるんだって。ふふっ」