陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ミカヅキ

音を紡げば⑨

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 そして放課後、私たちは階段前に集まっていた。

「ん?あぁ、お前らもか。」
「きいと音羽もなんやね。」
「まぁね。友達やし。」
「私も、桜のこと知りたいから。」

Qは少し前に話を聞いていたみたい。柚ちゃんが言っていたから本当なんだろう。たぶん、この前うちのクラスに来たときの、あの日の放課後。その次の日からQはずっと悩んでいるみたいやからほぼ確実だろう。

「んじゃ、行こっか。」

 柚ちゃんに連れてこられたのは、駅前のファミレス。思い思いのスイーツを注文して、ドリンクバーでジュースを入れる。6人がけの席を陣取った。私の横に柚ちゃんが座り、対面にきいと楓と奏が座った。

「じゃあ、私とさくちゃんの出会いから始めるね。」

 柚ちゃんは幼稚園時代のころの話を始めた。懐かしそうな顔をしている。余程楽しかったのか、常に口角が上がったままだ。

「それで小学校に入学した。」

話は小学校時代に。あの女というのはおそらく富田さんのこと。最初のころは和やかな空気だったが、少しずつ、口調が強くなってきた。

「あの女はね。昔から好きだったやつがおったんやって。それで告白した。返事は何やったと思う?」

柚ちゃんは私たちに質問を投げかける。

「普通にフラれたんちゃうん?」

そう、きいが言った。

「惜しい。『桜が好きだから』ってフラれたのよ。」

柚ちゃんのその言葉で私たちの頭の中に最悪のシナリオが浮かんだ。

「あとは分かるでしょ?そういうことよ。」

言いがかりも甚だしい。なぜそうなったのかも分からない。分かりたくもない。

「そして、私もさくちゃんも逃げるようにあそこからいなくなって、そして戻ってきたってわけ。あとのことは知ってるやろ?高校に入って、皆と仲良くなって、そして、あの女と再会してしまったの。」

柚ちゃんはティラミスを口に運んだ。

「ん~!これで全員に話したし!私の出番はあとは作るだけ!あっ、そうだ!私たちのこの作戦名、考えへん?」

この中でそんなこと話せるのはおそらく柚ちゃんだけ。

「ごめん、今そんなテンションちゃうから、柚音ちゃんが考えて。」
「俺からも頼む。」
「私も、今はそんなこと考えられへんかな?」
「柚ちゃん、なんかいいのない?」

「つれないな~」と呟きながら、柚ちゃんはノートに、まるで決めていたかのように文字を書いていく。

「こんなのどうかな?」

そこに書かれていた文字は…

『陰キャの陰キャによるに限りなく近い陰キャのための救済措置』
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