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ミカヅキ
音を紡げば①
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いつも通り、奏たちと学校に行って授業を受ける。今までと何も変わらないただの日常。そんな風に思っていた。
今日は月曜日。音楽の授業がある。
「2曲目を書いてもらいます!」
『えぇ~っ!』
爆弾発射台『磯浦仁』。彼はまたこんな変な課題を平気で出してくる。
「まぁ、そんなことを言わずに。今回はちゃんとした目的があります!」
イソジンは自分の後ろにあるホワイトボードにキュキュッと文字を書き始めた。
『届きそうで届かない相手へ』
その言葉を見た瞬間に全員が静まる。今回のテーマなんだろう。でも、タイミングも何もかもが完璧すぎて怖いくらいだ。
「今回はこのテーマで書いてもらいます。自分の好きな人とか、遠くへ行ってしまった友達とか、RINEの既読がつかない親友とか。みんなにはたくさんの手の届きそうで届かない大切な人がいると思います。その人に向けて1曲作ってみてください。その動画をSNSに上げてもよし、どう使っても構いません。ただ、みんなの本気を見せてください。」
そのとき、イソジンと目が合った。いや、イソジンが意図的に合わせてきたのだろう。全て見破られている。ただそのことだけを強く感じた。
いつものように詞を書く人と曲が作れる人、歌い手組に別れて、詞を書く人が作曲をしてくれる人を選抜していく。俺はもちろん作詞側だ。
「今回もお願い出来る?」
「もちろん、いいよ。本気なんやろ?」
「私たちに任せて!」
俺は前回と同じように作曲に船戸さん、歌い手に戸津井さんを引き抜いた。
「で、曲のイメージは任せるね。誰に向けての歌かも分かってるし。」
「私はどんな歌が来てもしっかり歌うから安心して。思うままに作っていいから。」
「ありがとう、助かる。」
この2人は桜がいなくなったことを知っている。桜がいなくなった時にKYUKA組で身近な人には伝えると決めたからだ。
「じゃあ先に言っておく。俺はこの曲をSNSに投稿するつもりだ。」
「もちろん。」
「なんとなくそんな気はしてた。」
「分かってたのか。」
「そりゃあそうでしょ。一刻も早く有田さんに届けたいんちゃうかなって。」
「みぎどー。」
2人は俺の机を囲んでそんな感じで笑っている。終わりのチャイムがなるまでそんな会話は続いた。
「で、詞はどうする?また出来上がったら送ってくれる?」
「いや、船戸さんの家ってそういう機材揃ってるんよな?」
「まぁ、あるけど。」
「じゃあ1週間だけ待ってくれ。持って行くわ。」
「それって、私の家に来るってこと?」
「そういうことになるな。音聴きながら作業したいし。」
「ならいいけど、くるみも来てよね。」
「はぁーい!」
今日は月曜日。音楽の授業がある。
「2曲目を書いてもらいます!」
『えぇ~っ!』
爆弾発射台『磯浦仁』。彼はまたこんな変な課題を平気で出してくる。
「まぁ、そんなことを言わずに。今回はちゃんとした目的があります!」
イソジンは自分の後ろにあるホワイトボードにキュキュッと文字を書き始めた。
『届きそうで届かない相手へ』
その言葉を見た瞬間に全員が静まる。今回のテーマなんだろう。でも、タイミングも何もかもが完璧すぎて怖いくらいだ。
「今回はこのテーマで書いてもらいます。自分の好きな人とか、遠くへ行ってしまった友達とか、RINEの既読がつかない親友とか。みんなにはたくさんの手の届きそうで届かない大切な人がいると思います。その人に向けて1曲作ってみてください。その動画をSNSに上げてもよし、どう使っても構いません。ただ、みんなの本気を見せてください。」
そのとき、イソジンと目が合った。いや、イソジンが意図的に合わせてきたのだろう。全て見破られている。ただそのことだけを強く感じた。
いつものように詞を書く人と曲が作れる人、歌い手組に別れて、詞を書く人が作曲をしてくれる人を選抜していく。俺はもちろん作詞側だ。
「今回もお願い出来る?」
「もちろん、いいよ。本気なんやろ?」
「私たちに任せて!」
俺は前回と同じように作曲に船戸さん、歌い手に戸津井さんを引き抜いた。
「で、曲のイメージは任せるね。誰に向けての歌かも分かってるし。」
「私はどんな歌が来てもしっかり歌うから安心して。思うままに作っていいから。」
「ありがとう、助かる。」
この2人は桜がいなくなったことを知っている。桜がいなくなった時にKYUKA組で身近な人には伝えると決めたからだ。
「じゃあ先に言っておく。俺はこの曲をSNSに投稿するつもりだ。」
「もちろん。」
「なんとなくそんな気はしてた。」
「分かってたのか。」
「そりゃあそうでしょ。一刻も早く有田さんに届けたいんちゃうかなって。」
「みぎどー。」
2人は俺の机を囲んでそんな感じで笑っている。終わりのチャイムがなるまでそんな会話は続いた。
「で、詞はどうする?また出来上がったら送ってくれる?」
「いや、船戸さんの家ってそういう機材揃ってるんよな?」
「まぁ、あるけど。」
「じゃあ1週間だけ待ってくれ。持って行くわ。」
「それって、私の家に来るってこと?」
「そういうことになるな。音聴きながら作業したいし。」
「ならいいけど、くるみも来てよね。」
「はぁーい!」
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