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ミカヅキ

欠けた日常

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 あっという間に中間テストが終わる。俺は記憶がほぼない。桜が急にいなくなって、どこに行ったかも分からなくなって早1週間。その間、何も手につかなかった。

「思ってるより5倍くらいぼーっとしてるねぇ~。」
「船戸さん、ごめん。今そのテンションになれそうにない。」
「せやな。ごめんごめん。」

そう言って船戸さんは戸津井さんのところへ行く。ここ数日はこうしてもらっている。その方が俺も楽だから。

 テスト期間中、俺はずっと考えていた。桜はどこに行ったのか。なんで急に消えたのか。手がかりは何もない。こんな時、アニメの中の名探偵ならすぐに場所を突き止めていたのだろう。けど、残念ながら俺にはそんな能力はない。昭和の刑事のように走り回って探すので手一杯だ。

 荷物だけ片付けて、もう帰ろうかとカバンを持ち上げると、ドアの前に見慣れた人影が見えた。

「ひい君。今日は一緒に帰ろ。」
「あぁ…だな。」

なんで言葉が詰まったのかは分からない。けど、確かに喉に引っかかった。

「でね、テスト勉強死ぬほどしたのに全く分からんねん!」
「それは災難だったな。」

きいはあれからもいつも通りだ。いつも通り俺に話しかけてくれて、いつも通り一緒に登校する。それに比べて俺は…

「桜のこと止めれなかったのまだ気にしてる?」

きいは俺の心の中を見透かしたようにそう聞く。

「ちょっとな。そんな心配する程や無い。」

こんなこと言っても、きいは分かっているのだろう。そして、わかっているから何も言わないのだろう。

 いつも左側にいた人がいなくなるだけでここまで弱くなることを痛感した。
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