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バイバイ
体育祭Ⅱ⑫
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「次やん。」
「やっと現実見たな。どーする?帰る?」
「身代わり連れてこれるんやったらやけど、そうはいかんよな。」
「やろな。」
俺たちの前の組が出たところで、やっと現実に気づく。今から公開処刑に行かないといけないのだ。今までのカップルたちは恥ずかしがりながらも、ちゃんと告白していた。どうやらガチ告白のところもいたみたいで、めちゃくちゃ盛り上がっている。
隣の楓を見る。他のカップルの甘々の空気に当てられたのだろうか。何となく考えてることが分かる。幼馴染であり、彼氏である俺だからかもしれない。何となく目の動き方だけで分かるのだ。
「期待してるん?」
「してないし。殴るで。」
「はいはい。」
照れ隠しって分かってるからこそ、そこも可愛く思える。
「次の組の人、並んでください!」
係の人にそう呼ばれて、1番外側のレーンの紐を取った。
紐を結んで楓と肩を組む。自然と出来てしまうのが少し恥ずかしいが、楓が俺の肩に手をかけるくらいしかできないから俺が支えるしかない。
「お次は2年生最終組!熱々な告白を見せてくれる中、他薦のカップルたちはどんなバカップルをしてくれるのか!」
放送部の煽りが少しムカつくが、今は競技に集中するだけ。
「位置について、よーい」
―パン
ピストル音に合わせて走り始める。楓が転けないように少しゆっくりめに。走り始めて少ししてある程度の順位が決まった。俺らは恐らく2位。前も後ろも差があるからそんな感じだろう。
そんな矢先だった。
「あっ」
隣の楓が声を上げると同時に、右側に引っ張られる感覚が。雪崩るように崩れる身体を捻って、楓の下に潜り込む。
「痛ててて。楓、怪我ないか?」
「ん。奏こそ大丈夫?」
「コースロープで抉られる方が痛い。」
「アホみたい。ありがと、奏。」
繋がれた紐を1度解いてから立ち上がる。俺が先に立ち上がって、楓の手を取った。
「1人で立てるのに。」
そんなことを言われても俺は手を引く。また楓と体を寄せて、足に紐を結ぶ。お互いに少し体が痛むので歩きながらゴールを目指す。拍手を一身に浴びながら半周歩いた。
「さあて、最後に入ったのは、レースから甘々な空気を出している水泳部所属、カップル直前の2人組!加太奏太郎と海南楓だ!」
もちろん、すぐにしないといけない状況。姫のご希望にお答えしましょうか。
「やっと現実見たな。どーする?帰る?」
「身代わり連れてこれるんやったらやけど、そうはいかんよな。」
「やろな。」
俺たちの前の組が出たところで、やっと現実に気づく。今から公開処刑に行かないといけないのだ。今までのカップルたちは恥ずかしがりながらも、ちゃんと告白していた。どうやらガチ告白のところもいたみたいで、めちゃくちゃ盛り上がっている。
隣の楓を見る。他のカップルの甘々の空気に当てられたのだろうか。何となく考えてることが分かる。幼馴染であり、彼氏である俺だからかもしれない。何となく目の動き方だけで分かるのだ。
「期待してるん?」
「してないし。殴るで。」
「はいはい。」
照れ隠しって分かってるからこそ、そこも可愛く思える。
「次の組の人、並んでください!」
係の人にそう呼ばれて、1番外側のレーンの紐を取った。
紐を結んで楓と肩を組む。自然と出来てしまうのが少し恥ずかしいが、楓が俺の肩に手をかけるくらいしかできないから俺が支えるしかない。
「お次は2年生最終組!熱々な告白を見せてくれる中、他薦のカップルたちはどんなバカップルをしてくれるのか!」
放送部の煽りが少しムカつくが、今は競技に集中するだけ。
「位置について、よーい」
―パン
ピストル音に合わせて走り始める。楓が転けないように少しゆっくりめに。走り始めて少ししてある程度の順位が決まった。俺らは恐らく2位。前も後ろも差があるからそんな感じだろう。
そんな矢先だった。
「あっ」
隣の楓が声を上げると同時に、右側に引っ張られる感覚が。雪崩るように崩れる身体を捻って、楓の下に潜り込む。
「痛ててて。楓、怪我ないか?」
「ん。奏こそ大丈夫?」
「コースロープで抉られる方が痛い。」
「アホみたい。ありがと、奏。」
繋がれた紐を1度解いてから立ち上がる。俺が先に立ち上がって、楓の手を取った。
「1人で立てるのに。」
そんなことを言われても俺は手を引く。また楓と体を寄せて、足に紐を結ぶ。お互いに少し体が痛むので歩きながらゴールを目指す。拍手を一身に浴びながら半周歩いた。
「さあて、最後に入ったのは、レースから甘々な空気を出している水泳部所属、カップル直前の2人組!加太奏太郎と海南楓だ!」
もちろん、すぐにしないといけない状況。姫のご希望にお答えしましょうか。
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