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バイバイ

体育祭Ⅱ⑤

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 私の前の組が出て、次は私の番。スタートラインの目の前まで来てしまって、やっと緊張してきた。

 私は所詮陰キャ。じゃあなんでこんな競技に出たかって?うちのクラスでは他の競技が人気すぎて、借人競走がジャン負けだったから。私らしくしっかりと負けて、この場所に来てしまったのである。

 この競技で私が問題視しているのは「人と話さないといけないこと」。私みたいな陰キャにはそんなこと、超高難易度クエストをノーダメでクリアする以上に難しいことだ。

『ウオオアァァァ!!!!』

どうやら前の組が終わったようだ。私たちは立ち上がって目の前の机を見る。置かれている封筒はあと6つ。今までの流れを見る感じ、少なくともどれか1つはハズレっぽい。それを引かなければいいだけの話だ。

「位置について、よーい…」
―パン

その音にびくりとしながらもとりあえずスタートする。そして最下位で封筒を手に取った。

 歩きながら封筒を開けて、中の紙を取り出す。

『水泳部』

私のお題はこれ。うちの学校の水泳部はそこそこ人数がいるはず…いや、3年生は引退したみたいだから結構少ないか。それなら…ここから1番近いのは楓。加太くんも一緒のクラスやったからどっちかが出てくれるだろう。

「水泳部の人~!」

2-Cがいる黄色チームの前まで行って、そう叫ぶ。すると、G組のところから1人出てきた。

「2人とも行っちゃったからな、俺が行くわ。」

3年生たちの間を縫って、同じ学年の男子が出てくる。名前も知らなけりゃ顔も知らない。ただ、髪の色的に水泳部であること確かだ。

 出てきてくれた彼は私の手を握って生徒会長である富田さんのところに走っていく。一応ルールだからしょうがないけど。

 結局ビリでゴールして、2人で並んで6位の旗の後ろに並ぶ。

「正直、2人がいなかったらやばかったんで、ありがとうございます。」
「いやいや、同じ学年なんやし少しくらいは手助けしてあげないとな。」
「えっと、名前は?」
「白野。白野倫也。奏とは中学時代からのライバルだ。よろしくな。」
「えと、橋本紀乃です。よろしくです。」

白野倫也。一応覚えておこう。
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