344 / 753
バイバイ
祭囃子⑩
しおりを挟む
「待ったか?」
「そこまで。ついさっきまで音羽と喋ってたし。」
きいとはこの当番が終わったら一緒に回る約束をしていた。
あの勝負の後、近くの階段の踊り場で待っていたきいはいつものように笑顔。いつもはあまり待たせることがないから少し変な感じだが。
「で、どこから行く?」
「とりあえずメシだな。腹減った。」
「人と関わりすぎて。」
「そうそう。」
今の俺の周りでは珍しい、こんなことを共感し合える友達。他は…まぁ、陰キャだけど陽キャに近いとか、そんなんが多いからだ。そして、何よりも大きいのが幼馴染であること。だからこそ、コイツと一緒だと変に気を遣わなくていい。
屋台村であるグラウンドに着く。ここに出店しているのは8クラス。今年は3年生が総取りしたようだ。焼きそば、たこ焼きなど定番のものはもちろん、アニメ肉みたいな少し笑いに走ったのを売っている所もある。
「やっぱり人多いね。」
「俺たちはこんな戦場に突っ込んでいかないといけないのか。」
お昼時なのもあって、どの屋台にも長い行列ができている。その周りの人の流れもぐちゃぐちゃで、唯一落ち着いていられるところといえば、ラグビー部が使っているタイヤを置いているところくらい。気をつけないとはぐれそうだ。
「とりあえず並ぶか。きい、何がいい?」
「焼きそば、たこ焼き、ベビーカステラ、豚まん!」
「よう食べるな。並ぶぞ。」
きいと一緒にまずはベビーカステラの列へ。ベビーカステラは並びながらでも食べられるし、見た感じ1番回転がいい。列の長さ的にも10分待ちくらいだろう。
目の前の2人は、うちの学校の先輩だった。手にはうちわを持っている。番号は16で同じ番号だ。
「そういえば、ひい君、何番やった?」
「俺は136番やったで。」
今年の文化祭は生徒会企画と称して、カップルナンバーが行われている。配布されたうちわは表面は全員が同じデザインだが、裏面は少しずつ変わっている。デコレーションされた数字がプリントされていて、それが自分の番号。その番号と同じ番号がプリントされているうちわを持っている人を見つけて生徒会室に行けば、写真を撮ってくれるらしい。
「きいは?」
「こんなことってほんとにあるんやね。」
きいの手元のうちわに書かれていた番号は136。俺と同じだ。
「一緒やで、ひい君。」
うちわで口元を隠しながら、顔を赤く染めて、きいは言う。その仕草に思わず顔を背けてしまった。
「後で行くか?」
「…うん。」
それから顔を合わせられなかった。
「そこまで。ついさっきまで音羽と喋ってたし。」
きいとはこの当番が終わったら一緒に回る約束をしていた。
あの勝負の後、近くの階段の踊り場で待っていたきいはいつものように笑顔。いつもはあまり待たせることがないから少し変な感じだが。
「で、どこから行く?」
「とりあえずメシだな。腹減った。」
「人と関わりすぎて。」
「そうそう。」
今の俺の周りでは珍しい、こんなことを共感し合える友達。他は…まぁ、陰キャだけど陽キャに近いとか、そんなんが多いからだ。そして、何よりも大きいのが幼馴染であること。だからこそ、コイツと一緒だと変に気を遣わなくていい。
屋台村であるグラウンドに着く。ここに出店しているのは8クラス。今年は3年生が総取りしたようだ。焼きそば、たこ焼きなど定番のものはもちろん、アニメ肉みたいな少し笑いに走ったのを売っている所もある。
「やっぱり人多いね。」
「俺たちはこんな戦場に突っ込んでいかないといけないのか。」
お昼時なのもあって、どの屋台にも長い行列ができている。その周りの人の流れもぐちゃぐちゃで、唯一落ち着いていられるところといえば、ラグビー部が使っているタイヤを置いているところくらい。気をつけないとはぐれそうだ。
「とりあえず並ぶか。きい、何がいい?」
「焼きそば、たこ焼き、ベビーカステラ、豚まん!」
「よう食べるな。並ぶぞ。」
きいと一緒にまずはベビーカステラの列へ。ベビーカステラは並びながらでも食べられるし、見た感じ1番回転がいい。列の長さ的にも10分待ちくらいだろう。
目の前の2人は、うちの学校の先輩だった。手にはうちわを持っている。番号は16で同じ番号だ。
「そういえば、ひい君、何番やった?」
「俺は136番やったで。」
今年の文化祭は生徒会企画と称して、カップルナンバーが行われている。配布されたうちわは表面は全員が同じデザインだが、裏面は少しずつ変わっている。デコレーションされた数字がプリントされていて、それが自分の番号。その番号と同じ番号がプリントされているうちわを持っている人を見つけて生徒会室に行けば、写真を撮ってくれるらしい。
「きいは?」
「こんなことってほんとにあるんやね。」
きいの手元のうちわに書かれていた番号は136。俺と同じだ。
「一緒やで、ひい君。」
うちわで口元を隠しながら、顔を赤く染めて、きいは言う。その仕草に思わず顔を背けてしまった。
「後で行くか?」
「…うん。」
それから顔を合わせられなかった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる