陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

バイバイ

祭囃子①

「生徒諸君！今日までよく頑張った！今日だけは何も考えなくていい！この祭りを彩る祭囃子になってくれ！」
『ウオオォォォォァァァァ！』

生徒会長の挨拶が始まる。今年の生徒会長はノリがいい。その一言に尽きる。そんな人だ。

「それでは文化祭開始まで！」
『5！』
『4！』
『3！』
『2！』
『1！』

スピーカーから流れる生徒会長の声に合わせて、カウントダウンが始まる。廊下からも聞こえてくるカウントダウンはまさに祭囃子だ。

「騒げぇぇぇぇぇ！」
『ウオォォォォァァァァ！』

地鳴りのような叫びと共に店番に当たっていない生徒が教室から消える。教室の中に残ったのはほんの数人。各レーンに配置している担当と、受付担当。そして、どうしても回らなくなった時のヘルプだけだ。

「始まったな。」
「今回はどんなお客さんが来るんかな？」
「さぁ。中学生とか小学生来てくれたら嬉しいんやけどな。」

まず回ってくるのはうちの学校の生徒。中には去年ジャンガに惨敗した人もいて、って、俺のクラスバレてるな。

　続々とやってくるお客さんを捌きながら1時間。ついにアイツがやってきた。

「来たでぇ～！」
「よーっす！」
「あれ？2人？」

来たのはカレンと音羽。妥当な組み合わせだが学校ではあまり見ない組み合わせだ。

「誰かおらんかなってプラプラしとったら音羽ちゃんがおってん。」
「そゆこと。」

たぶん音羽はカレンを探していたと思うが、それは口には出さないでおこう。

「んで、今年もジャンガやってんねんな。」
「勿論。好評やったから。」

カレンはコルクを詰める前の銃口をジャンガの方に向ける。

「撃ち抜いたるわ。」