陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

バイバイ

Iの文化祭準備①

　1週間後に迫った文化祭。俺たちはその作業に追われていた。

「テープ、そっちある？」
「やばい、強度足りん！」
「このペン、かすれてるって！」

教室に飛び交う叫び声の中、俺たちはちまちまとした作業をしていた。

「よりによって、今年も射的とは。」
「だな。正直、他のをやりたかった。」

俺と船戸さんは2年連続の射的。作る作業が嫌な訳では無いが、多少の飽きがやっぱりある。

「去年の布、まだあったっけ？」
「俺ん家でコルクと一緒に保管してる。」
「去年の的は？」
「さすがに捨てた。」
「じゃあ、あの量を作り直しか。」

コルク銃は今年はカレンのお父さんから借りることになった。その分、少しお金が浮くが、去年の経験上、ラムネとかそんなのを置いていたらいずれ的が無くなる。

「的、どうやって作る？」
「くるみは知ってるやろうけど、私たち、去年はペットボトル半分に切ってやったから、それはやりたくない。」
「でも、それくらいしかやれることないよな？」
「やねんなぁ～！」

実際、的作りに回してもらった人員は俺と船戸さんと戸津井さんの3人だけ。看板とか装飾とかに多く人員が回っていて、イベント自体の準備より進んでいる感じだ。

「空き缶とかでも出来ん？よくあるやん、アニメとかでさ、狙撃手が空き缶撃ち抜くの。」
「そんなに空き缶あるか？」
「私ん家はあるよ。缶コーヒーのメーカーの株主だから。30本くらいはあると思う。」
「残ってるん？」
「なんかでいるようになるかなぁって捨ててなかったから。」
「「ナイスー！」」

船戸さんは戸津井さんに抱きついて、俺は背中をバンバン叩く。これでとりあえず的問題は解決。あとは、作るだけだ。

「あっ、そうだ。由良くん、ジャンガ持ってきてね。あれ、結構話題になったから。」
「へい。」