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バイバイ

久しぶり①

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「うぃーす!」
「よっ!」

約1ヶ月ぶりに教室に入る。夏休み明けだからか、そこまで人も揃っていないが、揃っているのは宿題をやりに来た人が多い。休み明けの恒例行事だ。

「はよ~!」
「おはよ、船戸さん。」

俺の隣の席の成績優秀者は明日のテスト勉強をしている。明日は土曜日。4時間しかないはずなのに全部テストがあって、しかも範囲が広い。地獄スケジュールのいい例になりそうな時間割だ。

「焼けた?」
「おっ、分かる?」
「ん~、何となくね。夏休み前より黒いかなぁ~って。どっか行ったの?」

見ていた単語帳を閉じて、俺と向かい合う。そう言う船戸さんも少し焼けた気がするが…

「昨日釣り行ったんよ。いつものメンバーで。」
「いつものって…あぁ、あのメンバーね。ずっと仲良いよね。」
「まぁな。」

俺はカバンの中から今日出す分の宿題を取り出して、背もたれにもたれる。今年は去年ほど遊ばなかったが、高校に入るまでは考えられないほど遊んだ。あの頃の俺にこうなることを教えてやりたいくらいだ。

「おっはよーーーー!」
「うわぁぁぁ!」

突如船戸さんの後ろから現れて、抱きついたのは戸津井さん。こちらも少し焼けたような感じだ。

「およよ?およよよ?およよよよよ?」
「何すんのよ、くるみ!」
「あぁーっ!花胡ちゃん、肩紐焼け残ってるぅ!」
「キャーーーッ!」

ブラウスの第1ボタンを無理やり外して、肩を覗こうとする戸津井さん。船戸さんの鎖骨の辺りまで見えてしまって、俺は目を逸らした。

「見た?」
「何を?」

船戸さんは赤い顔をぷるぷるさせて訊いてくる。その横では戸津井さんが野垂れ死んでいた。制裁を食らったんだな。南無。

「その…」
「見てないよ。目逸らしたから。」
「そう、ならよかった。」

ふぅと安心したように息を吐く船戸さん。その左手に、首根っこを掴まれた戸津井さんがいて、軽く持ち上がってる。こりゃあ、もしも見ていたら俺もこうなってたんだな。危ない危ない。鎖骨までは見えてたことは墓まで持ってこう。

「んじゃ、私はくるみ絞めてくるから。ほら行くよ。」
「ひゃ、ひゃい!ずびばぜんでじだ~!」

引き摺られるようにして廊下に出ていった2人。直後、鈍い音と叫び声が聞こえてきたことは、関係ないってことにしておこう。
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