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キザムノ
夏の終わりに③
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「そういや、奏。お前らの役職ってどうなったんだ?昨日の大会で発表されたんやろ?」
久志が通路を挟んで隣の席に座る奏に話しかける。
奏の先輩たちは昨日で全員が引退。新体制の発表は昨日だと知らされていたので、もともと水泳部だった久志もその行く末が気になっていたのだろう。
「部長は大夢。まぁ、予想通りだ。副部長に倫也がなった。」
「叶華がトレーニングリーダーになって、私が主務。そして、ね。」
「おい、楓。俺に言わせる気か?」
「だってその方がおもろいもん!」
「はぁ…、俺が応援団長になった。」
「「「「「…………」」」」」
あまりの衝撃に静まり返る。
「応援…団長…」
きいがそうつぶやくと、周りの人の迷惑にならないようにクスクスと笑い始めた。
「おいお前ら!笑うな!」
「だって、ぽいなって思ってな!」
「Q、それそれ!」
「奏にぴったりな役職や!」
「それは奏しかできないでしょ!」
久志はお詫びがてら肩をポンポン叩く。口元のニヤけは収まっていないが、その意味を分かってくれるだろう。
「奏、頑張れよ!」
そう言うと、奏は少しだけ笑って、「おう」と応える。これから1年間は大変になると思う。だからこそ、うちの水泳部には、この2人には頑張ってほしい。
そうこうしているうちに、もう舞子に近づいていた。
「おし、お前ら、忘れ物ないように片付けろ。」
『へぇーーい』
奏がそう呼びかけて、広げていたお菓子やジュースを片付ける。こう見ると、遊びに行くというより、ちょっと人数の少ない遠足みたいだと思う。
「釣りっていつぶりだろ?」
「ここ最近は行ってなかったな。」
「俺はたまに楓と家族と行ってるぜ。」
「私も久志の家に来てからは行ってない。」
「私も一人暮らし始めてからは行ってないかな?」
「自分はたまにpadreに連れて行って貰ってる。」
『なんて?』
「あぁ、イタリア語で『お父さん』って意味。カレンはお父さんのことよくそう言うから。」
なんで音羽が説明してるの?って言いたいところだけど、ぐっと堪える。珍しく楓も茶化そうとしていないから。2人が進展してくれてるようでよかった。
久志が通路を挟んで隣の席に座る奏に話しかける。
奏の先輩たちは昨日で全員が引退。新体制の発表は昨日だと知らされていたので、もともと水泳部だった久志もその行く末が気になっていたのだろう。
「部長は大夢。まぁ、予想通りだ。副部長に倫也がなった。」
「叶華がトレーニングリーダーになって、私が主務。そして、ね。」
「おい、楓。俺に言わせる気か?」
「だってその方がおもろいもん!」
「はぁ…、俺が応援団長になった。」
「「「「「…………」」」」」
あまりの衝撃に静まり返る。
「応援…団長…」
きいがそうつぶやくと、周りの人の迷惑にならないようにクスクスと笑い始めた。
「おいお前ら!笑うな!」
「だって、ぽいなって思ってな!」
「Q、それそれ!」
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「それは奏しかできないでしょ!」
久志はお詫びがてら肩をポンポン叩く。口元のニヤけは収まっていないが、その意味を分かってくれるだろう。
「奏、頑張れよ!」
そう言うと、奏は少しだけ笑って、「おう」と応える。これから1年間は大変になると思う。だからこそ、うちの水泳部には、この2人には頑張ってほしい。
そうこうしているうちに、もう舞子に近づいていた。
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『へぇーーい』
奏がそう呼びかけて、広げていたお菓子やジュースを片付ける。こう見ると、遊びに行くというより、ちょっと人数の少ない遠足みたいだと思う。
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