306 / 724
キザムノ
呼び出し②
しおりを挟む
電車に乗って着いたのは樟葉。枚方市の中でも北の方なのに妙に発展している駅だ。枚方市の中で一番大きなショッピングモールがあるのはここ。唯一駅近の映画館があるのもここ。一番使い勝手がいい駅はここ。そんな駅だ。
「久しぶりに来た!」
「俺も去年から来ていないな。」
「まぁ、殆どのものは香里園で済むからね。」
普段使いできる服とかはだいたい香里園でそろう。が、ちゃんとオシャレしようと思ったらこっちに来ないと少ない。
「でも、今日来たのは服目的ちゃうやろ?」
「やっぱ分かったか。さすがにこのまんまだと2学期が不安やから、いい参考書ないかなって。」
「じゃあ、水山書房やな。」
中に入るなり、右側のエスカレーターで3階に上がる。奥の方に進めば、水山書房と書かれた大きな看板が見えてきた。ひと目で分かる圧倒的な本の数。これが奥まで続いているとなると、もう圧巻だ。
「参考書はここだな。」
科目別に別れた高校学参の棚の前に立つ。どこの書店に行ってもこの光景は圧巻で、俺たちはこれだけ勉強しないといけないんだなと思う。
「欲しい教科は?」
「数学は絶対。英語は苦手やけど自分でどうにかなると思うから。」
「りょーかい。」
前までは「全部!」って言ってたのにな。それだけ努力しているってことか。生憎英語は苦手だが、数学は理系クラスである以上、ある程度解けるようになってきている。学校で配布されている参考書を除いて探していると、いいものがあった。
「きい、こんなんどう?」
「どれどれ。」
「これこれ。」
もう習った複素数の範囲を開きながらきいに寄っていく。肩と肩が触れ合うと、きいは少しピクンとしたが、すぐにいつもみたいな距離感に戻った。
「これ、解説と問題がしっかりしてるやつやから、基礎的なところから分かんのよ。」
「そういう系かぁ。もうちょっと例題が多いやつない?」
「そっちの方がええん?」
「うちの担当、そこすっ飛ばしてやるから。」
「あーね。じゃあそういう系探すわ。」
手に取った参考書を棚に戻す。例題がしっかりしてるやつか。となると、あの参考書しかないよな。
「なあ、きい。」
「あった?」
「配布された参考書は解いてるか?」
「…………」
この反応、やってないな。
「やってないんやな。」
「すみません。」
学校で配布されている、黄色とか青とかある問題集は比較的例題の数がしっかりしている。そして、基礎から順番に押さえられるようになっていて、分かりやすい問題集だ。
「きい、デコ貸せ。」
「ひっ!」
「早く。」
「ひゃ、ひゃい!」
べしっとデコピンする。
「いっっったぁぁぁぁぁい!」
きいの絶叫がフロアに響き渡った。
「久しぶりに来た!」
「俺も去年から来ていないな。」
「まぁ、殆どのものは香里園で済むからね。」
普段使いできる服とかはだいたい香里園でそろう。が、ちゃんとオシャレしようと思ったらこっちに来ないと少ない。
「でも、今日来たのは服目的ちゃうやろ?」
「やっぱ分かったか。さすがにこのまんまだと2学期が不安やから、いい参考書ないかなって。」
「じゃあ、水山書房やな。」
中に入るなり、右側のエスカレーターで3階に上がる。奥の方に進めば、水山書房と書かれた大きな看板が見えてきた。ひと目で分かる圧倒的な本の数。これが奥まで続いているとなると、もう圧巻だ。
「参考書はここだな。」
科目別に別れた高校学参の棚の前に立つ。どこの書店に行ってもこの光景は圧巻で、俺たちはこれだけ勉強しないといけないんだなと思う。
「欲しい教科は?」
「数学は絶対。英語は苦手やけど自分でどうにかなると思うから。」
「りょーかい。」
前までは「全部!」って言ってたのにな。それだけ努力しているってことか。生憎英語は苦手だが、数学は理系クラスである以上、ある程度解けるようになってきている。学校で配布されている参考書を除いて探していると、いいものがあった。
「きい、こんなんどう?」
「どれどれ。」
「これこれ。」
もう習った複素数の範囲を開きながらきいに寄っていく。肩と肩が触れ合うと、きいは少しピクンとしたが、すぐにいつもみたいな距離感に戻った。
「これ、解説と問題がしっかりしてるやつやから、基礎的なところから分かんのよ。」
「そういう系かぁ。もうちょっと例題が多いやつない?」
「そっちの方がええん?」
「うちの担当、そこすっ飛ばしてやるから。」
「あーね。じゃあそういう系探すわ。」
手に取った参考書を棚に戻す。例題がしっかりしてるやつか。となると、あの参考書しかないよな。
「なあ、きい。」
「あった?」
「配布された参考書は解いてるか?」
「…………」
この反応、やってないな。
「やってないんやな。」
「すみません。」
学校で配布されている、黄色とか青とかある問題集は比較的例題の数がしっかりしている。そして、基礎から順番に押さえられるようになっていて、分かりやすい問題集だ。
「きい、デコ貸せ。」
「ひっ!」
「早く。」
「ひゃ、ひゃい!」
べしっとデコピンする。
「いっっったぁぁぁぁぁい!」
きいの絶叫がフロアに響き渡った。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
おっぱい揉む?と聞かれたので揉んでみたらよくわからない関係になりました
星宮 嶺
青春
週間、24hジャンル別ランキング最高1位!
ボカロカップ9位ありがとうございました!
高校2年生の太郎の青春が、突然加速する!
片想いの美咲、仲の良い女友達の花子、そして謎めいた生徒会長・東雲。
3人の魅力的な女の子たちに囲まれ、太郎の心は翻弄される!
「おっぱい揉む?」という衝撃的な誘いから始まる、
ドキドキの学園生活。
果たして太郎は、運命の相手を見つけ出せるのか?
笑いあり?涙あり?胸キュン必至?の青春ラブコメ、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる