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キザムノ

呼び出し①

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 暇だ。杏はクラブで桜はクラスの打ち上げ。故に1人だ。こういうとき同じように暇な奴を探して遊べるのが陽キャなんだろう。俺には出来ない所業だ。

―ピコン

俺のスマホに通知が入る。誰だろうと思って見たら、きいからだった。

『今暇?』
「暇だ」

そうやって返せば速攻で既読がつく。こいつも暇なんやな。

『どっか行かん?』

そういえば、高校生になってからきいと2人で遊びに行ったってのはなかったはずだ。遊ぶときは、KYUKA組で遊んでいるからな。

「おけ」
「どこ行く?」

今度は既読こそつくが返事がない。たぶん、なんの予定もなしに言っていたからだろう。

『無難に樟葉とか』
「それでいこう」
「集合何分後?」
『20分』
「おけ」
「じゃああとでな」

集合場所は言わずもがないつもの場所だろう。20分後か。まずはこの寝癖たちをどうにかしないとな。

〇〇〇〇〇

「(うおーーーーーーーー!)」

私は枕に口を当てて叫びながら、足をジタバタさせる。よく誘ったぞ!私!

 なんで今日なのかって。それは前に音羽が「21日、クラスの集まりがある」って言っていたから、ひい君が暇ちゃうかなぁって。案の定暇やったっぽくて遊びに行くことなったけど。

「紀乃、うるさい。」
「ごめーん!」

バタバタさせていつ足をゆっくりと止める。軽く息が切れていて、疲れた。

「服、何着てこ。」

〇〇〇〇〇

 20分後、いつもの街角に俺は立っていた。服装は無難に白のTシャツにチノパン。いつもの外行きの服だ。『ちょい遅れる』って連絡が来てたから、待っておくか。

 少ししてきいが走ってくるのが見え始めた。

「ひい君~!遅れたぁ!」
「ええでええで。」

肩で息をしながら笑っているきいは、黒のワンポイントTシャツにデニム生地のショートパンツ。いつものふわふわした印象より、どちらかというとかっこいい系の印象だ。いや、まだあどけなさが残っている分、いたずらっ子みたいな印象と言った方がよさげか。

「どしたん?」
「いーや、そういう服来てるの見るん久しぶりやなぁって思って。」
「似合ってる?」
「似合ってなかったらそう言ってる。」
「おっ!ひい君のツンデレ発動!」
「うっせ」

スタスタと駅に歩き始めると、きいが俺の周りをぐるぐると回る。犬だなコイツは。

「歩きにくい。行くぞ。」
「へぇーい。」

少なくとも暇は解消されそうだ。
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