陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

キザムノ

誕生日②

「ハッピーバースデートゥーユー！ハッピーバースデートゥーユー！」

門真南で降りたら、違う号車に乗っていたパンパンが駆け寄ってきて、そう歌い始める。

「おい、パンパン。やめろ。こっちが恥ずいわ。」
「ちぇーっ！つれねぇな！」

コイツは後輩なのにそんな感じが一切しない。というか、同学年と勘違いしそうになるくらいだ。

「海南先輩、おはようございます！」
「おはよ、パンパン。今日も元気やね。」

楓は後輩に対してはお姉さんキャラで通すとか言っていたな。無理やと思うけど。楓やし。

　今日の練習の予想をしながら集合場所まで歩く。今日はスタンドの入口ではなくて、更衣室の入口。下の階の入口だ。

「よう、倫也。」
「奏。はぴば！」
「珍しい挨拶だな。」

集合場所には倫也がいて、他は誰も来ていなかった。中学生は、女子はそこそこ揃っている。高校生の揃いが悪いことはいつもの事か。

　集合時間10分前になってやっと揃い始める。中学生もほぼ全員揃って、体操を始める。体操中に何人か来て、全員揃った。

　メニュー説明をするのは江住先生。中高合同の練習ということで、少し軽めのメニューだ。

「…ってことで、1本で力を出し切るように頑張ってください。入場は9時からなので、それまでは自由にしてください。んじゃ、解散。」

そんな感じでメニュー説明が終わって、みんな散り散りになる。中学生は喋っているが、高校生は伸ばし足りないところを伸ばしている。

　55分になると、入口に並び始める。他校も来ていたが、うちの学校は人数がはるかに多い。その分まとまりがないが、しょうがない。

　入場すると、カードが配られる。これで入退場をチェックするようになっているらしい。時間もないのでさっさと着替えて、ドライランドを始めた。

「奏先輩、今日誕生日やんな？」

そう話しかけてきたのは白野凛。倫也の弟で、現在中3だ。

「祝え。ってか、ドライのペアおらんの？」
「そそ。やから一緒にやろ。」

今日のドライランドはペアストレッチ。股関節周りのストレッチが多くて、そして体幹系がある感じだ。

「じゃあ、俺の言う通りにしろよ。」
「りょーかい。」

寝転んだ状態で、身体をほぐしていく。いつもよりかは内容が少ないが、それでもしっかりほぐれる。

　ドライランドが終わって、集合する。もうジャージは脱いでいて、全員水着の状態だ。

「気をつけ、礼！」
『おーーーーしゃす!!!!!!』

プールに向かって礼をして、練習開始だ。