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キザムノ

親友①

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 俺には小学校の頃から遊んでいる親友がいる。俺とハルは中学校から私立だから別で、高校になったら全員が別の学校に進学した。だが、繋がりは消えないままで、今日も遊ぶことになっている。

「久しぶりやなぁ~」
「ん?あぁ、木曜メンバーのこと?」
「そうそう。」

『木曜メンバー』とは小学校の頃の俺たちが勝手につけた、グループ名みたいなものだ。毎週木曜日に集まって遊んでいたからそうやって呼んでいる。

「私も行っていい?」

楓もたまに参加していて、別に遊べない訳ではない。けど、

「久しぶりの全員集合やから、イツメンだけで遊ばせてくれ。」
「りょーかいっ!」

ニシシと笑いながら敬礼する楓。そんなキラキラした姿を見て、「ありがとな」と呟いた。

 ちなみにだが、木曜メンバーには俺たちが付き合っていることは言っている。やから今日も「連れてきてもええで。」とは言われているが、俺個人の判断でそれはなしにした。

 前回揃ったのは、たしか中学卒業のあとやから、1年半前か。その時のことは昨日のように覚えている。

 当時、俺は体調を崩しかけていたけど、みんなに会えるからって少し無理をして遊んだ。けど、遊び始めたらしんどさなんか忘れて、小学生の頃に戻ったみたいに遊んでいた。遊び方なんか知らない。けど、コイツらといるだけで楽しいと思える。そんな空気で半日遊び倒した。

「あれ以来か。」

不意にそんな言葉がこぼれる。

「1年半前のこと?」
「うん。もう集まることもあんま出来ひんと思ってたから。ちょっと嬉しくてな。」
「奏が珍しく正直や!」
「悪いか?」
「べっつに~」

気付けばもう家の前。時間は1時過ぎ。2時半集合やからそこそこ時間がある。

「じゃあまた明日な。」
「はしゃぎすぎて筋肉痛なって動け~んとか言ったらアカンで!」
「はいはい。」

ドアノブに手をかけて喋る。楓も同じ感じだった。

「明日起きれんかも知らんからよろしくな。」
「うい!」

そう言ってドアを開けた。

「明日な!」
「うん!また明日!」

手をヒラヒラと振りながら家の中に消えていく。さっきまでの騒がしさが嘘だと思うほどの静けさ。クーラーがかかってないから暑い。まずクーラーをつける。部屋を冷やしている間にシャワーを浴びる。疲れた頭がスッキリしたところで、お湯を沸かす。沸かしている間に今日履いた水着を洗って、干せば丁度お湯が沸いた。

「今日はこれにしようかな?」

袋から取り出したのは麺大盛りのカップ焼きそば。ソースとかやく、マヨネーズを出して、かやくだけかける。そしてお湯を注いだ。

 2分半くらいで湯切りをして、ソースとマヨネーズをかける。

「いただきます。」

こんな寂しい時間も、あと1時間もしないうちに喧騒に変わるから、心地いいと思えるようになった。
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