293 / 773
キザムノ
眠気③
しおりを挟む
急に膝に何かが乗っかった感触がするようになった。そのまま肩を掴まれる。
どうやら俺は眠っていたようだ。寝ぼけた頭をフル回転させて、目を薄らと開く。飛び込んできたのは、夢を見ているのかと思えるような状況だった。
「え、えと、ご飯にする?お風呂にする?それとも、わたし?」
は?
桜は顔を真っ赤にしながら、じっと俺の目を見つめてくる。その目は少し潤んでいて、めちゃくちゃ恥ずかしそうだ。
いや、それ以前にだ。これは夢か?俺はまだ夢を見ているのか?目を擦っても、その風景は変わらない。
「なぁ、桜、頬っぺたを抓ってくれ。結構キツめに。」
「ん。」
そう言って、桜は両手を俺の頬に伸ばし、横に引っ張った。
「ふにににに!」
うん、しっかりと痛い。パンと手を離されて、更に痛くなったから現実で間違いないだろう。でも、この状況を信じられない。信じられるとしたら誰かが桜を唆したか。そんなことしそうなのは…
「ギャアハハハハハハ!ハヒー!ハヒー!ハヒー!」
下品な笑い声がして、部屋の入口の方を見れば、そこには母ちゃんがいた。
「おい、何した?」
「いや、こんなことしたら?って言ったらちゃんとやるもんだから面白くて…ブファッ!」
とりあえず、軽く蹲るほどの拳骨を落としておいた。
眠気覚ましにコーヒーを淹れる。リビングでは母ちゃんが『反省中』のプレートを首からかけて正座している。桜はまだ復帰していない。
「母ちゃん、なんで何も言ってこんかったんや?」
「そりゃあ、息子達がシているときに帰ってきて、『あらあら』ってやりたかったから。」
「ふぅーんそうか。」
俺はキッチンの奥から10kgの米袋を持ってきて、母ちゃんの膝の上にのせる。
「さぁて、桜を起こしてくるか。」
「ちょ、このまんま放って行くん?」
「当たり前やろ。反省してもらわんと。」
「しゅん…」
このおテンパはこれぐらいせんとアカンからな。次も何しでかすか分からん。
階段を上って俺の部屋に戻る。そこにはまだショートしている桜が突っ立っていた。
「おーい!戻ってこーい!」
「ん?んがっ!」
鼻をつまめばいい声を出す。桜は戻ってくると顔を真っ赤にした。
「悪いのは母ちゃんだから気にすんな。」
「う、うん。」
まぁ、こういう顔を見れたのは久しぶりやから嬉しいけど。
どうやら俺は眠っていたようだ。寝ぼけた頭をフル回転させて、目を薄らと開く。飛び込んできたのは、夢を見ているのかと思えるような状況だった。
「え、えと、ご飯にする?お風呂にする?それとも、わたし?」
は?
桜は顔を真っ赤にしながら、じっと俺の目を見つめてくる。その目は少し潤んでいて、めちゃくちゃ恥ずかしそうだ。
いや、それ以前にだ。これは夢か?俺はまだ夢を見ているのか?目を擦っても、その風景は変わらない。
「なぁ、桜、頬っぺたを抓ってくれ。結構キツめに。」
「ん。」
そう言って、桜は両手を俺の頬に伸ばし、横に引っ張った。
「ふにににに!」
うん、しっかりと痛い。パンと手を離されて、更に痛くなったから現実で間違いないだろう。でも、この状況を信じられない。信じられるとしたら誰かが桜を唆したか。そんなことしそうなのは…
「ギャアハハハハハハ!ハヒー!ハヒー!ハヒー!」
下品な笑い声がして、部屋の入口の方を見れば、そこには母ちゃんがいた。
「おい、何した?」
「いや、こんなことしたら?って言ったらちゃんとやるもんだから面白くて…ブファッ!」
とりあえず、軽く蹲るほどの拳骨を落としておいた。
眠気覚ましにコーヒーを淹れる。リビングでは母ちゃんが『反省中』のプレートを首からかけて正座している。桜はまだ復帰していない。
「母ちゃん、なんで何も言ってこんかったんや?」
「そりゃあ、息子達がシているときに帰ってきて、『あらあら』ってやりたかったから。」
「ふぅーんそうか。」
俺はキッチンの奥から10kgの米袋を持ってきて、母ちゃんの膝の上にのせる。
「さぁて、桜を起こしてくるか。」
「ちょ、このまんま放って行くん?」
「当たり前やろ。反省してもらわんと。」
「しゅん…」
このおテンパはこれぐらいせんとアカンからな。次も何しでかすか分からん。
階段を上って俺の部屋に戻る。そこにはまだショートしている桜が突っ立っていた。
「おーい!戻ってこーい!」
「ん?んがっ!」
鼻をつまめばいい声を出す。桜は戻ってくると顔を真っ赤にした。
「悪いのは母ちゃんだから気にすんな。」
「う、うん。」
まぁ、こういう顔を見れたのは久しぶりやから嬉しいけど。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる