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キザムノ
意地①
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今日から3日間は高校対抗。中央大会と同じラクタブドームで行われる、各高校の対抗戦だ。
「今日は奏って400やんな?」
「今日が400で明日が200。」
「なるへそー。で、調子は?」
隣にいる奏は少し嬉しそうな顔を浮かべる。
「いつもと違ってアイツがおらんだけでこんなに変わるんやなってのが正直な感想。いつもは勝負みたいな感じで考えてたけど、いざ自分との勝負になるとな。少し楽しみではある。」
「なーにー?寂しいん?」
「ふふっ、そうかも。」
いつもなら「んなわけないやろ」とか言ってきそうなセリフなのに、そんなツッコミも今日は無い。あまり見ない奏だが、私は1度見たことがある。
それは、4年前。中一の夏のことだった。
奏はまだこの時期は短距離専門で、フリーリレーのメンバーだった。
「奏、絶対ベストね。」
「分かってるって。」
「なんなら、1位で帰ってきていいから。」
「はいはい。」
そのときは珍しいなと思っただけだった。でも、召集所でも誰とも喋らない。ただ1人で目を閉じている。そんな姿を見て私は思った。めちゃくちゃ集中してると。
おそらく今の奏は集中してる状況。じゃあ、そっとしといてあげよう。
京橋に着いても気づいていない。。本当にすごい集中力だ。
「奏、京橋。」
「お、おう。」
返事も、最低限って感じ。やっぱりあのときと一緒だ。でも、この集中力がどれだけもつのか。あのときは直前からだから、レース中も集中出来ていたけれど、行くときから集中していたらどこかで限界が来る。
乗り換えて、門真南。こちらもなんとなく気づきそうにない。ずっと1点を見つめたまんまで、ピクリとも動かない。
「奏、着いたよ。」
「ん?もう着いたのか?」
クラブバッグを背負って、電車を降りる。エスカレーターで上がって、改札を出る。右側の奥にある出口から上に上がれば、目の前に見えてきたのはラクタブドーム。
「1ヶ月ぶりやね。」
「そうだな。」
あのときから人数は半分くらいに減った。寂しくもなった。でも、
「Quality is more important than quantity.」
「え?」
「量より質ってこと。」
「へぇ~、確かに今のこのチームにピッタリやね。」
「だろ。」
この状況の奏が言うからこそ、重たく思えた。
「今日は奏って400やんな?」
「今日が400で明日が200。」
「なるへそー。で、調子は?」
隣にいる奏は少し嬉しそうな顔を浮かべる。
「いつもと違ってアイツがおらんだけでこんなに変わるんやなってのが正直な感想。いつもは勝負みたいな感じで考えてたけど、いざ自分との勝負になるとな。少し楽しみではある。」
「なーにー?寂しいん?」
「ふふっ、そうかも。」
いつもなら「んなわけないやろ」とか言ってきそうなセリフなのに、そんなツッコミも今日は無い。あまり見ない奏だが、私は1度見たことがある。
それは、4年前。中一の夏のことだった。
奏はまだこの時期は短距離専門で、フリーリレーのメンバーだった。
「奏、絶対ベストね。」
「分かってるって。」
「なんなら、1位で帰ってきていいから。」
「はいはい。」
そのときは珍しいなと思っただけだった。でも、召集所でも誰とも喋らない。ただ1人で目を閉じている。そんな姿を見て私は思った。めちゃくちゃ集中してると。
おそらく今の奏は集中してる状況。じゃあ、そっとしといてあげよう。
京橋に着いても気づいていない。。本当にすごい集中力だ。
「奏、京橋。」
「お、おう。」
返事も、最低限って感じ。やっぱりあのときと一緒だ。でも、この集中力がどれだけもつのか。あのときは直前からだから、レース中も集中出来ていたけれど、行くときから集中していたらどこかで限界が来る。
乗り換えて、門真南。こちらもなんとなく気づきそうにない。ずっと1点を見つめたまんまで、ピクリとも動かない。
「奏、着いたよ。」
「ん?もう着いたのか?」
クラブバッグを背負って、電車を降りる。エスカレーターで上がって、改札を出る。右側の奥にある出口から上に上がれば、目の前に見えてきたのはラクタブドーム。
「1ヶ月ぶりやね。」
「そうだな。」
あのときから人数は半分くらいに減った。寂しくもなった。でも、
「Quality is more important than quantity.」
「え?」
「量より質ってこと。」
「へぇ~、確かに今のこのチームにピッタリやね。」
「だろ。」
この状況の奏が言うからこそ、重たく思えた。
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