陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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イツモノ

俺たちは中央大会⑥

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 そして、大会最終日。今日も早めに来たが、1番乗りは布施屋さんだった。

「おいず!」
「声死んでんな。」
「ごれでもぎのうのがえりよりまじなっだほうやで。」

俺は鞄を角に立てかけて体操をする。他校も結構集まってきて、だんだんと騒がしくなってくるが、そんなの関係ない。ルーティーンみたいにしているストレッチを少し開けたところでする。

 今日出るのは400m自由形。またもやピー也と隣だ。先生から「熱い勝負やな」と言われたけれど、たぶんそうはならない。俺はこの大会の調整を失敗している。1週間前は調子が良すぎて困っていたほどなのに、今週でズドンって落ちてしまった。おそらく原因は調整をしすぎたこと。俺は軽く疲れている時の方がタイムが出るからだ。

 しかしピー也は俺とは逆のタイプ。疲れていない時に力を発揮する。だから、この大会での調子がいいようだ。

 でも、そんなことを考えたって仕方ない。今はただ、ベストを尽くしてピー也を送り出す。それだけだ。

 7時半に開場する。初日と同じように中に入って、そして体操。体を少しずつほぐして、いつもの練習みたいにリラックスする。7時45分に先生のありがたいお言葉をいただき、アップをしにプールサイドに降りた。

「冷たっ」

まだ人が少ないからか、プールの水は冷たい。プールサイドに座って、手だけ水につけてスカーリングしてみる。水の感覚は悪くない。足を伸ばして、バタ足。少し軽い気もするが、それは今からのアップでなんとかなるだろう。

 プールに入って1度潜る。浮遊感と共に水の冷たさが体を包み込み、音が消える。隣のコースでアップしているやつも、その奥でアップしているやつも、誰もいない感じだ。そして壁を蹴る。ドルフィンキックを1、2、3、4。浮き上がりはいつも通りっぽい。ゆっくりとしたストロークで体を温めていく。

(微妙に多いな。)

ストローク数がいつもより1回多い。つまり、いつもよりその分だけ水を捉えきれていないということ。

(調子、悪いな。)

なんとなく、そんな気がした。

 そのあともいつも通りアップを済ませ、スタンドに戻る。体自体が軽いのに体が上手く動かない。でも、あとはやるだけだ。

 俺は競技開始を待った。
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