陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

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イツモノ

俺たちは中央大会④

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 今日は授業終わりに会場に向かって応援だけの日。昨日はベストこそ出たがいいタイムではなかったので、今日の応援を死ぬ気で頑張る。

 今日決勝のレースに出るのは200m背泳ぎの瑞希さんと4×100mメドレーリレーだ。俺が着く頃にはみんなも声が潰れているだろうから、「救世主登場!」とか言って入ろうかな?

 気づけば門真南に着いていて、電車を降りる。駅前のコンビニでのど飴を買い足して、会場に向かった。

「みんなお疲れ~!」
「奏、来てくれたん?ありがとう!」
「あとの応援は任せとけ!」
「いや、その声は心配なるわ。」

昨日、腹から声を出したのに、その圧に喉が耐えられなくて、今はガラガラ声だ。

「それでも声出すのが加太奏太郎ってもんやろ。」
「頼もしっ!パンパンなら裏おんで。」
「おけ、のど飴支給してくるわ。」
「行ってら。」

俺がいない間、応援の中心になるのはパンパンくらいだろう。

「おお、奏っぢ、ぎでぐれだん?」
「思った以上に深刻やな。」
「南陽ど張り合っどっどら死ぬわ。」
「だろうな。そんなパンパンにこれをあげよう。」
「あざす!」

パンパンの労いを済ませて、あとは応援だけだ。

 そして、200m背泳ぎ決勝の直前になった。

「第8レーン、川端瑞希、国学社大附」

場内アナウンスで瑞希さんが紹介される。

「「「「みずき~~~~~!」」」」

スタンドからそう叫んだら瑞希さんは大きく手を振った。上手くリラックス出来ているようだ。

―ピッピッピッピッ…ピー…ピー

「Take your marks」

―ピッ

「エーイ!」
「パパッパパーパーパーパー!」
「ヘイヘイ!」
「パパッパパーパーパーパー!」
「ヘイヘイ!」
「パパパパーパーパパーパー!」
「ヘイヘイ!」
「パパパパーパーパパー!」
「ヘイヘイ!ゴーゴーゴーレッツゴーレッツ瑞希!ゴーゴーゴーレッツゴーレッツ瑞希!」

有名な怪盗のアニメのオープニングに合わせて応援する。入りの50mは8位だが、後半に伸びてくるので、そこら辺は心配していない。

 決勝と言うだけあって、どこの学校も応援に熱が入っている。比較的少人数のうちの学校は声で負けてしまいそうだ。でも、しんどいはずなのに、みんな楽しそうに応援している。

 応援していたら1分半なんて一瞬で過ぎていく。最後のターンでの順位は7位。8位や9位との差は結構あるから近畿は確定だろう。

 普段、後半に上がってくる瑞希さんでも、ラストの50mで差を広げられていく。これが大阪レベルなのだろう。結果、瑞希さんは7位でゴールタッチ。近畿大会出場を決めた。
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