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イツモノ
私ができること
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「行きます!よーいドン!」
今となっては当たり前になった私の練習中の立ち位置。1コース、Distanceの練習だ。
「1分9秒8。前半34秒7。イーブンイーブン」
中央大会前日になって、軽めだがレースを想定した練習をするようになった。てなわけで、今やっているのは100×4のレースペース。部長先輩くらいの速さになれば1分3秒とかでイーブンしないといけないけど、奏もピー也もそんな速度は身につけていない。でも、私だから分かることがある。それは、
「奏、やっぱ調子いいよな?」
「多分な。自分ではそんな感覚ないんやけど。」
今までなら、ちゃんとキックを打たないと出なかったタイムも、今は軽めの4beat(beatは2ストロークの間にキックを打つ数)で同じようなタイムが出ている。
おまけに持ち前の体力で、それを楽にやりのけている。私も泳いでいたから分かるが、100mを泳ぐときに前半より後半の方が速いタイムかそれに近いタイムで練習するのはキツい。正直、ラストのちょっとはペースが落ちてしまう。けど奏は、それを時計を見ながらやってのける。見えたときに間に合いそうになかったら、そこからまた上げるし、逆に早すぎたら、ギリギリになるように調整する。
「1分10秒0。」
今回もイーブンペースを続けている。奏とピー也にとってはいつも通りの練習だ。
練習が終わって、あとはフリープランで調整だ。私の仕事は姿勢とかをタブレットで録ること。足の高さとか、浮き方とか、そこら辺を重点的に、だ。
奏の動画を録っていると、少し違和感があった。前までの泳ぎ方と比較すると、その違いがよくわかった。
「奏さ、調子いいのプッシュの仕方変えたからちゃう?」
「わかった?ここからここまでの水を押す角度変えてみてん。」
奏は腰周りで手を振る。
「んで、それやったら体ひっくり返るからキックと腕で水押さえてみてるだけ。速なったんはたまたま。」
「だろうね。」
奏っぽいと心の中で呟く。ピー也に勝つという目的を捨てたからか、奏は今は水泳を楽しんでいるように感じた。
今となっては当たり前になった私の練習中の立ち位置。1コース、Distanceの練習だ。
「1分9秒8。前半34秒7。イーブンイーブン」
中央大会前日になって、軽めだがレースを想定した練習をするようになった。てなわけで、今やっているのは100×4のレースペース。部長先輩くらいの速さになれば1分3秒とかでイーブンしないといけないけど、奏もピー也もそんな速度は身につけていない。でも、私だから分かることがある。それは、
「奏、やっぱ調子いいよな?」
「多分な。自分ではそんな感覚ないんやけど。」
今までなら、ちゃんとキックを打たないと出なかったタイムも、今は軽めの4beat(beatは2ストロークの間にキックを打つ数)で同じようなタイムが出ている。
おまけに持ち前の体力で、それを楽にやりのけている。私も泳いでいたから分かるが、100mを泳ぐときに前半より後半の方が速いタイムかそれに近いタイムで練習するのはキツい。正直、ラストのちょっとはペースが落ちてしまう。けど奏は、それを時計を見ながらやってのける。見えたときに間に合いそうになかったら、そこからまた上げるし、逆に早すぎたら、ギリギリになるように調整する。
「1分10秒0。」
今回もイーブンペースを続けている。奏とピー也にとってはいつも通りの練習だ。
練習が終わって、あとはフリープランで調整だ。私の仕事は姿勢とかをタブレットで録ること。足の高さとか、浮き方とか、そこら辺を重点的に、だ。
奏の動画を録っていると、少し違和感があった。前までの泳ぎ方と比較すると、その違いがよくわかった。
「奏さ、調子いいのプッシュの仕方変えたからちゃう?」
「わかった?ここからここまでの水を押す角度変えてみてん。」
奏は腰周りで手を振る。
「んで、それやったら体ひっくり返るからキックと腕で水押さえてみてるだけ。速なったんはたまたま。」
「だろうね。」
奏っぽいと心の中で呟く。ピー也に勝つという目的を捨てたからか、奏は今は水泳を楽しんでいるように感じた。
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